「世界の終わりだ……」
誰かがそんな風につぶやいた。それは至る所で起きてる。人々は家にこもり震えている。さっきから断続的に地面が揺れて、建物の中も決して安全ではない。けどそれでも……安心できる場所がそこにしか無い者達はそうするしか無いんだ。
そしてアズバインバカラではどうなのかというと、何故か皆さん私の周りに集まってる。なんか最近信仰されてるのは感じてたけど、アズバインバカラの民衆の皆さんは私が膝を折ってる広場にきて、祈ってた。なんか最初はそれこそちらほらだった。揺れがひどくなって来た時には親がやってきて子どもたちを連れて帰ってくれた。
でもなんか更に揺れがひどくなってきたら、みんな集まりだした。この世界の建物ってやわそうだからね。これ以上家の中にいたら、潰れたときに下敷きになる――と思ったんだろう。実際それは正しい判断だ。
けどだからってなんでここに来るかな? これはおかしいだろう。てか流石に勇者では荷が重すぎるかなって思ってるから行きたいんだけど……なんか離れづらいというか……そんなこんな思ってたら、空が割れた。そして宵が見えた。更にその奥には鬼が見える。そのせいで、アズバインバカラの住人たちはあれが世界を終わりにしようとしてくる巨人だと更に混乱だよ。
もうなんか上層部の人達までここに来て、上を見てる始末である。王様とかは宮殿の中に居てよ……確かにこの世界では私の傍が一番安全なのはそうだけど……明と宵が混在する空。たしかにこれは世界の終わりを感じてもおかしくない。
そしてその先に見つめる巨大なナニか……となったらその思考になるのもわかる。とりあえず落ち着いてもらいたいからね。精神が安定する香りを噴射して、音楽も鳴らしてあげる。色々と曲はなんかG-01の中に入ってたからそれでリラックス曲をチョイスすればいい。
それに更に私が最近練習してる魔法でちょっとした演出をする。光の粒を降らせて上げた。それはとても幻想的に見えるだろう。リラックスできる香りに、それに心落ち着く音楽、そしてこの演出で、皆さんなんとか落ち着きを取り戻してくれる。そうなれば、王様やラパンさんが取りまとめてくれる。
さて……私はG-01を立ち上がらせる。サーザインシャインインラの状況はわかってる。けど、あの黄金の鬼が何をやろうとしてるかのは正直わかんないし、あの地中から引っ張ってたのは一体……なんかあの鬼、この世界を崩壊させようとしてる様にしかおもえない。
流石に鬼が崩壊させるのってこの世界の人達に取っては反則ではないだろうか? 砂獣との戦いに負けてならこの世界のルールに則ってるし、教会の思惑通りになるのなら、それは内輪もめって事で自業自得だろう。
けど鬼はそうじゃない。あれはこの世界の表……明には干渉していい存在じゃないだろう。それがああやって出張ってきてしまったのは……
(私のせいかな?)
下手に鬼狩りをしすぎたか。そのせいの可能性が高い。勇者がどうにか出来るのなら、その成長のためにも……とか思ってたけど、流石にこの世界、そのものを崩壊させようとしてきてるとなると、許しておけないよ。あいつは宵にでも投げ捨ててやろうじゃない。
というわけで、私もようやく動くよ。