「お父さん! お母さん!!」
(ん?)
何やらそんな声が聞こえた。私が早速サーザインシャインインラへと行こうとしたときだ。なにやら変なエネルギー反応をG-01がキャッチしたのだ。変というか、大きい反応だ。まあ勿論だけど、私とかと比べると全然ちいさい。地上の生物のエネルギーなんてのはこっちから見たら数字上で見ると一桁から行って三桁くらいだからね。
私的には勇者や魔王そして何よりG-01のエネルギーを知ってるからね。それからすると、地上の生命体が持つエネルギーなんてのは微々たる物すぎる。そんな小さな数字で生きていけるの? って感じではあるが、実際は皆さん普通に生きてるから、そっちが普通なんだよね。こっちが異常なだけである。
そんな私でも「おっ」と思えるのがネナンちゃんのエネルギーである。まあつまりはあの声はネナンちゃんなわけだけど……そんなネナンちゃんがその力を使って、地面を蹴って空に飛び出した。
「あの子、何やってるの?」
おかしくなった? いや、ネナンちゃんはちゃんとした子だ。いやいや、ネナンちゃんはちゃんとした可愛い子だ。あの子はこの世界にとって特別。だからこそ、宮殿に保護されてて今やなかなかに良い生活をしてる。
でもそれでも今でもちゃんといい子な出来た子なのである。自分が特別……とか分かってるだろうに、増長なんてしないし、友達も多い。むしろネナンちゃんが特別だと分かってるから、周囲の子供のほうが……ね。
ちょっとそこら辺に問題が起きてるまである。けど私には何も出来ない。なにせ私はG-01だからだ。見守るだけ。両親が居なくなっても、懸命に明るく生きてたネナンちゃんが何故か飛び上がってる。そして誰もそれを止めることは出来なかったらしい。
近くには王子様とか居たみたいだけど……実際、普通の人達では本気になったネナンちゃんは止められないよね。なにせあの子はとても特別。それこそせいぜい皆さんがエネルギー一桁、多くて三桁の所、あの子は五桁くらいある。あの小さな体にね。
だからそんなネナンちゃんが本気で走り出せば誰も追いつけないよね。それに彼女は今空を飛んでる。どうみても、宵へとむかってる。もしかしてだけど……
「あの鬼を両親だと思ってる?」
どうして? だって大抵の人はあれを見て恐れおののいてる。そしてそれが当然の反応だろう。逆にあれを「お母さん」や「お父さん」とか見るのはなかなか危ないよ。精神状態が心配になる。とりあえず私はサーザインシャインインラへと行くのを待ったをかけてネナンちゃんにスキャンをかける。
もしかしたら特別なネナンちゃんを対象にした幻覚でも行われてるのじゃないかと思ったからだ。でも別にそんなことはなかった。けど、不思議な数値のエネルギーが発せられてる? あれは一体? そもそもネナンちゃんの力って謎が多い。その力が何かをネナンちゃんに見せてる可能性はある。
それにこうやって見ると、あの空の向こうに居る鬼がなんかネナンちゃんを見てる……ようにみえなくもない。そんなわけは無いと思うんだけど……
「鬼もネナンちゃんに反応してるとか?」
とりあえず私はネナンちゃんに追いついてその体を優しく包み込む。潰さないようにするのが大変である。でもそれでもネナンちゃんは空に向かって手を伸ばす。
「ジーゼ様! やめて、私はお母さんとお父さんの元に行くの! 離して!!」
そんな事をネナンちゃんは言ってくる。