私がその両手で優しく包み込んだネナンちゃんはなんとかG-01の手から逃れようとしてる。最初はそれこそジタバタとするだけだった。けど興奮してるせいなのか……徐々にその力が漏れ出してる。
そもそもがその身に似つかわしくないほどの力を宿してるのがネナンちゃんである。頑張ってその制御をしようとしてはいる。けど、なにせ魔法の知識は教会が独占してたわけで、アズバインバカラの宮殿の中にもそういうよくわからない力って奴を制御する知識なんてのはなかった。
だから勇者がその役目を担って教えてた訳だけど、それでも彼女がまだまだ全然その力を制御できてるわけじゃなかった。そもそもが私が与えたアクセサリーでネナンちゃんは常に放出してしまってるその膨大な力をアクセサリーへと溜め込んでる。
それで彼女は普通に生活が出来る感じになってるんだ。もしもそれをしなかったら、彼女はそれこそ不幸な人生を送ることになるだろう。力は見えないから力が与える影響にだってきづくことは出来ないだろう。
ただ彼女の周りにいると、次々といろんな人達がおかしくなっていく……とかが起きると思われる。そうなると行き着く所は迫害とかになって、世界に絶望した彼女が世界の敵になる展開とか、どうにか出来るのが教会しかいないから、そいつらが目をつけて一生を教会に良いように使われるとか……そんな風になってもおかしくはなかった。
今、幸せに生きてられるのは、いろんな幸運のおかげ。それにネナンちゃんは自分のそんな恐ろしい力をちゃんと自覚して、なんとか制御しようと頑張ってはいた。勿論まだまだだけど……それでも周りに恩を返そうと出来るいい子なのだ。
でも今は空にいる鬼を何故か両親と思い込んでる。死に別れてしまった彼女の両親……いくら今、とても良い暮らしをしてるとしても、彼女は自分を愛してくれてた両親を忘れるような薄情な子ではないということだろう。
それはとても喜ばしいと思う。そういう気持ち大切だよね。でもその思いに力が反応してる。ネナンちゃんが行きたいと強く思ってるからこそ、彼女の中にある力がそれを叶えようとしてるんだ。
興奮してるせいで、私のアクセサリーが彼女のエネルギーを吸ってるという事を忘れてるのがありがたい。気づいたらそれらを取り払って力を完全開放しだすかもしれない。
「それでも、ネナンちゃんを抑えておくことは簡単だけど……」
なにせG-01は更に強大な力を内包してるからね。ネナンちゃんがたとえ全力を出してこようとて、抑え込む自信はある。でも問題はこっちではない。それは強大な自身の力を溢れさせると、それによってネナンちゃん自身がダメージを負ってしまうと言うことだ。
興奮した今の状態でそれこそ際限なく力を溢れさせたら……最悪爆散である。いつも垂れ流してるのなら、大丈夫なのでは? とか思ったかも知れないが、そんなわけはない。たしかにいつも垂れ流す程度の力はネナンちゃん自身にはそれほど影響はない。でもあれだって彼女は無意識に抑えてるのだ。
けど、それでも膨大なエネルギーを完璧に抑えることは出来てないから常に力が溢れる状態になってる。それをこの今の状態で急に溢れさせたらどうなるか……それは例えて言うなら川が氾濫するかのようになる可能性がある。
つまりはネナンちゃんの体が耐えられられない。でも私は設定的に彼女に声をかけることが……ね。こうなったらあれが親じゃない……両親じゃないとわからせるか? 残酷だろうか? でもそれでもネナンちゃんなら強く生きてくれると信じてるよ。