ネナンちゃんと鬼との邂逅を見守ってた私だけど、なんか鬼が変なのに気づいた。なんか鬼はその口をやけに動かしてる気がする。私が戦ってた鬼どもはそんなに口を動かすことはなかった。だって奴らは喋らない。もしも意思疎通をしてるとしても、それはきっと口ではない。
思考を伝えたりしてるんだと思う。だから口を使うことってそれこそその口にエネルギーを溜めて放出するような攻撃をする時なんだよね。なのに……だ。今見えてる二体の鬼……そいつらはなんかやけに口を動かしてる。動かしてると言っても開けては閉じる……を繰り返してるだけだ。
形が変化してる…… とかではない。きっと鬼の口は構造上、そういう動きしかできないんだろう。でもそれでも異常で……
「まさか、何か伝えようとしてる……とか言わないよね?」
「お母さん……お父さん……うんうん」
なんかネナンちゃんには伝わってる? 私はG-01のセンサーを総動員して、何が起きてるのか解ろうとするよ。やっぱりだけど、何か繋がりがネナンちゃんとこの鬼にはある。本当に親なのか? と疑っちゃうけど、でもそんな……相手は鬼だよ? 流石にあれが両親なんて思えないが。
「どうにかして、ネナンちゃんの力に干渉してみようかな」
そうしたら、彼女に何が見えてるのか……わかるかもしれない。大きすぎる力を持つG-01が下手に相手に干渉したら、その相手を潰してしまう可能性がある。だから普通はそんなことしないが……極限まで私は力を絞って、その手の付け根の所から小さなコードを出して、ネナンちゃんへと接続した。夢中な彼女は気づいてない。
そのコードを通して、こっちのエネルギーをちょっとだけ流す。てかネナンちゃんの力の解析はずっとやってたから、そこそこ順応させることはできる。なにせ彼女が身に付けてる力を受け止めるアクセサリーは私が作ってるからね。
「ええっと、こうやって……ううーんちょっとアイに助けてもらう……いや、そんなことやったらあいつが調子に乗るからね」
私は画面を出して視線と思考で操作していくよ。それでなんとか波長的なものを見つけた。鬼とネナンちゃんが繋がってる波長だ。それを音声へと変換してみる……波長の中で、会話してるとなると、そういうのがあると思ったんだ。するとこのコクピット内に声が聞こえてきた。
「私……会いた−−た」
「ごめん−−い。たし−−も−−よ」
「ううん、こうやってもう一度−−た。会いに−−くれた」
「−−た」
うーん、なんかネナンちゃんの方はそこそこわかる。けど、鬼から伝わる声は雑音がひどい。てか……
「本当に鬼と会話してるじゃん」
そこがびっくりだよ。