「ちょっと試して見るだけだから許してね」
私は眠ってるネナンちゃんを保護膜で守ってから、優しく放り投げた。あくまでも優しくだよ? ブォン!! とか言う風に思いっきり投げてるわけじゃない。優しく、あくまでも優しくふんわりと、私は投げたのだ。これは虐待ではない。
ちゃんと保護膜で守ってるしね。あの保護膜は私の未熟な魔法ではなくG-01の機能としてあるちゃんとした代物である。一時的に耐物理に耐反物質とかに効果的な保護膜だ。反物質が何かというと、なんか魔法的な特殊な攻撃のことらしい。それにウイルスとか、そういうのも含まれる。つまりはなんでも守ってくれるすごいバリアだと思ってくれるとわかりやすいだろう。
滅茶苦茶なチートバリアじゃん……と思われるかもしれないが、これは実は標準装備である。そもそもがこのコーティングはG-01には標準でついてるからね。でもG-01だって破損してたりするわけで、決して万能で完璧なバリアってわけじゃない。
けどまあ私が駆けつけるだけの時間は稼げる代物ではある。そこらの普通の世界で現地人が使うような魔法やら技術やらで再現できるものではないからだ。けど流石に鬼に対しては不安はある。
なにせ鬼はG-01でも苦戦するほどの相手だからだ。でもこれは仕方ないのだ。本当にあの鬼がネナンちゃんに危害を加えないのか……それを判断するためには。なにせ私が守ってたんでは、わかんない。
本当にこの鬼二体がネナンちゃんの両親だとするなら、ネナンちゃんに危害を加えるはずがないじゃん。けどもしも何らかの危害を加えるとするなら……なに? バリアで守ってたら、何もできないじゃんって? 大丈夫、あのバリアは優しく接すれば発動することはない。もちろん、命を害するようななにか……それこそ目には見えないナニカだとしても、自動で防ぐ高性能ぶりである。
でも本当に慈しむ心と思いがあるのなら、発動なんてしない。いや、それは嘘だけど……流石にそこまでの心の機微とか感じる機能はない。けど攻撃かそうじゃないのかの判断くらいは出来る。
「どう出る?」
やっぱりだけど、鬼二体はネナンちゃんの方に気を取られた。いつもならこの隙きに一体を落とすという動きをするのが賢いやり方だろう。G-01ならそれが出来るしね。でも今回はそんなことはしない。
あくまで見極めるためにしたことだからだ。鬼はネナンちゃんの方にいってやっぱりだけどその口を開く。しかもなんか二体同時に開いて、二体同時に迫ってく。そしてアホなのかもしれないが、二体同時に行ったからだろう、
なんか二体の顔面がぶつかってた。
「アホか」
私は呆れてそんな風に呟いたよ。