uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 102P

 彼の名前は「山田奏(やまだ そう)」後輩からは山田先輩と呼ばれ、同学年の親しい人たちはからはソウとかソウ君と呼ばれてる。まあ普通だ。彼の特徴はイケメンであることだ。身長は百八十くらいあって、長身で足も長く、そして鍛えた体をしてる。髪はふわっとした自然系な髪型で毎日学校に行く前にはこだわってセットをしてる。

 それに美意識も高くて、毎日肌のケアを欠かしてない。なにせ彼は自分のイメージが爽やかイケメンである……と自覚してる。だからそれを崩さないように努力をしてるのだ。そして常に現代の若者らしくSNSをチェックしてる。けどそれは彼が承認欲求が高いとかではない。

 寧ろ山田奏自身は全然SNSをやらない。付き合い程度にやってるだけで、発信することはしない。でもこうやって常にSNSをチェックしてるのは、友達が何を見てるのか、何に興味があるのかをチェックしてるからだ。

 それにいま世間では何が流行ってるのかとかも欠かさずにチェックしてる。今やテレビとかが流行りの中心でも発信地でもない。それらはネットに置き換わり、そしてそこで活躍するインフルエンサーとかいう人種によって起こされるようになった。

 更には流行りも細分化してるといっていい。それこそテレビが全盛期の時代はクラス内の会話だって、それぞれのグループに分かれてると言っても、話題自体はテレビのことだった事が多かったはずだろう。

 

「昨日あの番組見た?」

 

 とかいう会話の入は定番だったと思う。でも今や時代は変わって「あの番組見た?」なんてのはもうほとんど使わなくなって久しい。今や「あの人みた?」とか「あのチャンネルの更新が――」とかになってる。

 一つの物を全員で共有するって事がなくなって、誰もが自分が興味を持つものを観るスタイルになってる。それでも一応若者に人気……とかはある。でも全員が見てるかといえばそうじゃない。勿論話題のチャンネルとかインフルエンサーはそこそこチェックしてる人は多いから話題に上がることは多いが、それよりももっと自分が発掘したまだあまり知られてない人を喜々として喋る様な人たちがおおい。

 なのでいち早くそういう情報をSNS仕入れて、動画を見てみて、次の日に教室とかで生の会話とかで出すと、その人からの印象が良くなったり、会話を盛り上げたりとできて、得しか無いと山田奏はわかってた。

 そうやって人徳を積み上げて、イケメンなことも欠かさない……そして勿論勉学だって彼は手を抜いてはいなかった。彼の家は父親が弁護士で母親が資産家の娘であった。つまりは裕福な家庭だ。

 けど彼はそんな家庭環境に甘んじてなんてない。毎日予習と復習をして、宿題は忘れたことなんてない。教師の手伝いは積極的にやって教師からの評判もすこぶるいい……というまさに完璧なイケメンと言ってもいいだろう。

 

 そんな山田奏に人生最大のピンチが訪れていた。それは夜にちょっと小腹が空いて、コンビニまで買い物に出たときだ。目的の物を買って家路を歩いて時。不意に何かが……黒い壁が出てきた。

 けどそれは壁ではなかった。壁のようにデカい人だ。それに壁のように硬い。普通なら「すみません」とかいってそれで終わるだろう。山田奏の爽やかイケメンスマイルは相手をなんとなく穏やかにしてしまう力があったから、これまで揉め事なんてほぼおきたことなんてなかった。

 けど今回は違った。「すみ……」まで口からでたが、それ以上は出なかった。なぜなら、ものすごい恐怖感が山田奏を襲ったからだ。その時初めて山田奏は殺気というものを感じた。

 その瞬間山田奏は完璧なフォームで走り出した。家とは反対側だ。けどそれよりも彼の頭の中はこの何者から逃げないと……という感情でいっぱいだった。