私は二つの魂を手にとってこの場を離れることにした。とりあえずこのままだといつ登場した鬼たちがこっちに向くかわかったものじゃない。分解爆発で壊れた穴はかなり大きいし、それを優先する限り鬼がこっちに来るとは思わないが……でもバグったやつがいないとも限らない。
なんかこの魂を入れてた鬼のようにね……だから安全な……どこが安全なのか? だってここは鬼のホーム様な場所だ。いや、様な……なんて生易しい表現じゃダメだね。ここは鬼のホームだ。それにさっきの現象……鬼はどこからともなく湧き上がるように出てきた。
つまりは鬼は宵ではどこにだって存在できるのかもしれない。いつも歩いて移動してるイメージだったけど……別に足を使う必要なんてないのかも。まあけど、今もあくせくとその体を使って穴を閉じる作業をしてるけどね。その光景はずっと都市を眺める定点カメラ的に見られるかもしれない。
一列に並んだ鬼たちがどこからともなくブロック状の物体をもってきて、穴に投入してる。そしてその穴からそれが溢れてきたら、その部分を均す……って事をしてる。そうやってちょっとずつ分解爆発で出来た穴を小さくしていってる。
それ自体はなかなかに面白くはある……けど鬼があれだけいると心臓がキュッとするっていうね。別に恋には落ちてないよ。鬼はたくましい体してるけど……
「あそこなら……鬼は絶対に来れないんでは?」
私は明と宵……その間の空間に目をつける。実際、あそこはなんかよくわかんないからあんまり近づきたいって場所ではない。圧倒的にデータが足りないしね。一応ネナンちゃんを全面に押し出すことであの場所にいるなにか? を近づけなくさせることは出来る……けど……データが無いことって怖いじゃん。でも初めの方はだいたいデータなんて無いわけで……そこにある意味でワクワクがあるような気はする。
冒険心とかが疼くっていうかね……
「そもそもあそこ通らないと明には戻れないからね」
宵の時間帯なら、直接都市に帰ることができるわけだけど、明の時間である今は世界を守るためか、隔てるためなのか知らないが、明と宵の間にはあのプニプニがある。結局の所、あれは通らないといけないなら、先に行っててもいいよね。
私は自分たちが出てきたプニプニの場所に近づいて収納してた場所からネナンちゃんを取り出すよ。すると手の中の光……2つの魂が嬉しそうにネナンちゃんの傍へとよっていく。
嬉しそうってのは私の主観なんだけど……きっとそうだろうって思う。なにせ今度こそ本当の親子の再開……のはずだからだ。