「とりあえずこれ以上、私の力を奪うのはやめてくれ」
もう一度切実な感じでそんな事をいってくるこの世界の神。流石に今度は土下座はしないらしい。けどどうやら私が「うん」と言うまでは頭を上げる気は無いみたいだ。うーん、どうしようか? だって私はようやく効率のいいエネルギー集めができる!! と思ったんだ。
これから宵の度に鬼のエネルギーを奪おうかと思ってたのに……それが出来ないとなると、G-01のアップグレードに支障がでる。
「そんなに困る事……なんですか? 神なんですよね?」
「神を何だと思ってる?」
「無限のエネルギーをもってる存在では?」
「そんな都合の良い存在は存在しない。我らのエネルギーは世界からの供給だ。普通の存在がその魂の範囲でしかエネルギーを生み出せないのと違って神である我々は世界のエネルギーを自由にできる」
「なら……」
「だが、それは無限じゃない。それに自由に使えると言っても、そんな横暴ばかりしてては、世界が崩壊する。世界を回すエネルギーは絶対に必要なのだ」
なるほどね。世界のエネルギーを神は使えるが、使いすぎると世界を回すためのエネルギーが不足してしまうのか。そうなると割を食う世界が出てきてしまう……と。もちろんそうなるとその世界にいる人が困ることになるんだろう。
(私の知った事かな? それ?)
とか一瞬思うが、世界を渡る中でそういう私のせいで割りを食った世界に出くわさないとも限らない。そうなると私自身が困る……か。
「でもこっちも、強くならないと行けないわけで……またあの『空獣』に出くわさないと限りませんし……」
「くう……その言葉は言わない方がいい」
なんかとても深刻そうな声に神はなった。
「どういうことですか?」
「神の中ではあれは禁句だ。一体幾つの世界……そして神があれに食われたか……」
「神でも太刀打ちできませんか」
「戦いで我らは敗北をしたからな」
そんな戦いもあったんだ。それでよくまだ世界が残ってるね。いや、それも私やG-01を作った人たちのおかげ……か。
「敗北を喫した我ら神を保護して、そして空獣に対抗しうる術を君達はくれた。今はなんとか世界を増やしてる最中だ。だが君がエネルギーが必要なのもわかる。それは空獣に対抗するためだろう?
確かに君達は一時的に空獣を退けた。だが倒したわけではない。空獣は君達に恨みを抱いてる。執拗に追ってくるだろうしな」
ええー、それは嫌だな。あんなのに私は追い回されてるの? めっちゃ困る。てかそれなら更にエネルギーが必要だよ。事情をわかってるのなら……
「だがこちらも限界だ。わかってくれないか……この通りだ」
どうやらこれまでのエネルギーの略奪には目を瞑るから、これ以上は……ということらしい。実際、これ以上は本当に困るんだろう。空獣に追い回されるのは困るが……世界が犠牲になるのも……ね。目覚めが悪い。しょうがない……か。べつの世界の力の変換方法は確立したのだ。なら、次の世界でまたエネルギーを集めればいい。
「分かりました。これ以上は鬼からエネルギーをとることはしません」
私は渋々そういった。