「それではこれは契約だ」
「契約……ですか?」
「ああ、以前はここまではしなかったが、これも君達が伝えた文化だよ」
そんな事を言って宇宙服を着た神は手を差し出してきた。その手の先に、なにやら複雑な術式が紡がれる。6つの丸い円がまずは配置される。一つが上下に、そして4つが等間隔にその間に配置された。そしてそれぞれの円に違う模様なのか、それとも文字なのか……私には分かんないが、なにやら意味がありそうな物が浮かび上がってきた。そしてその円から枝が伸びるように線が紡がれていく。そこにもよく見たらなにやら描かれてる。
そしてそれらが繋がり、結ばれていくと、中空に一つの契約書のような物が出来上がった。
(えーとどうしたら?)
この神的には私も彼ら……神を救った奴らと同類……と思ってるからやり方を教えてくれないらしい。その心は『当然わかってるだろう』だ。
(いやいや待て待て、焦る時間じゃないよ。こういう情報はどっかにあったと思う)
私だってこれまでそれなりのマニュアルを読み込んできた女である。不思議なことに、マニュアルは読み取ると身になる。まるで頭に刻まれるが如し……である。だからちょっと考えれば……
(よし)
私も手を向ける。するとG-01の細い管が一つそれに向かっていく。そして勝手に力を流してくれた。すると契約書の色にべつの色が混ざった。多分元の物があの神の力の色で、それに私が流し込んだ色が加わったんだろう。
「それではこれで」
どうやら契約はつつがなく終わったらしい。さっさと帰ろうとする神に私は気になってたことをその背に聞くことにするよ。
「ねえ、なんでこの世界はこんなに残酷な仕様なの?」
ずっと思ってた。この世界には救いがない。世界は砂獣に侵されてて、そして最終的には太陽に焼き殺される。時限爆弾のような世界だ。それを作った張本人が目の前にいる。なら、なんでこんな世界を作ったのか聞くしか無いじゃん。
最終的にこの神はあの世界を壊すことが目的なら、私達が頑張ることに意味なんて……
「必要なことだからですよ。これもあなた達がくれた世界救済の一つですよ」
そう言って神は消えていったよ。どうやら神達は私やG-01を作った人たちの助言なのかなんなのかにしたがってこんな世界を作ったらしい。それを聞いて思ったね。やっぱり一度、私は私自身を生み出した人たちに会う必要があるって。