「どうして……やっぱり、なんか変だったよな?」
野乃野足軽はひとまず授業はサボることにして、平賀式部に付き添うことにした。なにせ心配だったし、実際もう教室に行くのは……と思ってる。なにせ目の前でスヤスヤと寝てる平賀式部が告白したのだ。そしてそれに返事をして、二人は今や恋人同士。
その注目はもはや学校一だろう。教室に行くと、一体どうなるのか……と野乃野足軽は想像したくもなかった。なにせ穏やかな日常はもうない……と思えるからだ。昼下がりの日差しが差し込んで、平賀式部を照らしてる。
開いた窓から吹き込む風が穏やかで、この睡魔を誘ってくるのも納得だ。それに普通なら今はお腹も満たされる。抗うことの出来ない眠気に襲われるのは仕方ない。
とりあえず野乃野足軽はここで食べれなかった弁当を食べてた。そして独り言の様に呟いた言葉は明確にその対象がいる。それはもちろんアースだ。
(そうですか? 人間なんてあんなものでは?)
(あんなものって……やっぱり平賀さんがあんな大胆な事をするって……)
あの瞬間の事を思い起こすと今でも顔が熱くなる野乃野足軽だ。別に嫌なわけじゃなかったし、なんなら野乃野足軽にとっては人生最高の瞬間――といえる出来事だった。
でもこうやって一人になって、落ち着いてくるとどこか「やっぱりおかしい」と思えてくる。
「もしかして……誰かに操られてた?」
(貴方のような力に目覚めた者がいるということですか?)
野乃野足軽は頷いた。なにせずっと考えてた可能性だ。世界にこんな力をもったのが野乃野足軽だけ……なんてのは考えられないと。
(けど、彼女を操って告白させますか?)
そんなアースの言葉になにか返す事ができない。それは野乃野足軽だってよくわからないからだ。そんな事するメリットが……あるだろうか?
(よしんば、向こうは俺の力に気づいてて、好印象にして接触したいと思ってる……としたら?)
(彼女の意思を捻じ曲げての告白がうれしいのですか? ある意味、嫌がらせでは?)
(それは……)
(それよりもこの奇行はどちらかというと、貴方のせい……かもしれません)
(は?)
なにやらとんでもない事をアースが口走った。