「この事実は私の胸の中にしまっておこう」
私はそう呟く。この赤ちゃんは今の私では救えない。そしてこの事をヌメリアさんには伝えることは出来ない。そもそもがそうだ。ヌメリアさんはちゃんとやることやってた。それは彼女の口からちゃんと言われてた。
彼女は男たちの精を集めてた。その美貌を武器に、やりまくってた。でもそれは彼女の意思ではない。彼女の中に植え付けられた別人格のヌメリアさんのせいだ。教会によって作られた彼女の別人格。それが男たちから精を貪ってたのだ。そして妊娠して、ヌメリアさんが砂獣の子を生んでた。
私たちは勘違いしてたようだ。ヌメリアさんはもとから砂獣の子を妊娠してると思ってた。それをただ産み落としてるのだと……そう思いこんでた。でもそれなら、人の精を欲するのはおかしい。だって人の精が合わされると、出来上がるのはもちろんだけど、人間の赤ちゃんじゃん。
でも生まれてくるのは砂獣の子……そもそも砂獣の子なんてどうやって出来るのか不明だし……そこに人の精が必要なのはおかしい。でも彼女は砂獣の子を産み落とすために、沢山の男たちとそういう行為をやってた。
それがヌメリアさんの別人格が植え付けられた存在意義だったからだ。そしてきっとヌメリアさんが教会のお偉い連中に目をつけられたのは彼女が美しかったから。その美しさを武器にしたら、男なんて簡単に落せると教会の連中は思ったんだろう。
「本当に教会の上のほうは人を人と思ってないね」
実際、胎児なんて目に見えるものではない。けど……確かに命だ。成したことで宿った命。それは無垢なのに……なんの罪もないのに、どの段階かわかんないが、きっとヌメリアさんに施された教会のなんらかの改造によって、彼女に宿った命は砂獣へと変えられてしまうんだろう。
ただ砂獣が彼女に宿るんじゃない……胎児が砂獣にされてた。それはとても……とても残酷な事だ。
だから私は優しくするよ。この特別な砂獣がこれ以上間違えないように、私はこの子を開放する。その力が私には……いや、G-01にはある!!
「よし……データはある程度集まったね。まずは教会の蛆を追い出してあげる。奴らが害悪のは常識だからね」
奴らが毒のように巻いてるその力を、私は追い出すために、G-01のエネルギーを砂獣へと流す。それによって、書き換える。このアラクネ型砂獣の体質からね。