uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 820

「助かる!」

 

 黄金の鬼は砂獣の彼女の糸に引っかかってすっ転んだ。でもそれだけで別にダメージなんてのはないだろう。ならすぐに起き上がろうとするのが普通だ。けどそこにさらに砂獣の彼女は何かしてる? その八つある? いや彼女は蜘蛛の下半身に人間の上半身を持ってる砂獣だ。

 その蜘蛛の部分の目と、人間の部分の目を合わせると全部で10個の目があることになる。その全ての目がなんか怪しく光ってる。紫色にね。力の流れを感じるが……それを解析してる場合じゃない。なにせこっちは、研ぎ澄まさないといけない。これはチャンスなんだ。黄金の鬼がすっ転んで、さらには起き上がりにも時間をかけてる。起きあがろうとしてるみたいだが、なんかさらに押さえつけられてるって感じだ。

 

「汗……」

 

 よくみると砂獣の彼女はその体に汗をかいてる。額や頬、首筋、そして鎖骨に流れてる。蜘蛛の体の方は案外細かな毛がびっしりだからそういうのは見て取れない。

 ごくっ……と思わず唾を飲み込む。

 

『邪念』

 

 そんな声頭に響く。それはノアじゃない。女性の声だった。聖剣だろう。聖剣とは今強く強く繋がってる。だから自分の心の機微にも敏感になってる。それが伝わった。邪念って確かにあの砂獣の女性の部分の体ははっきり言ってもろ出しだ。真っ白な体は女性らしさに溢れてると言っていい。丸みを帯びた腰、引き締まったくびれ、そしてその上にある豊満な……そう豊満なアレである。

 自分は勇者だ。だからこそ、そういう雑念には強い。そういう誘惑は勇者だからこそたくさんあった。元の世界では通る街や村で、女性に誘われるなんていつものことだった。

 けど、それに乗ったことはない。それは勇者だからだ。けどだからって女性に興味がないのか? と言われたらそんなことはない。そんなことあるわけない。確かにこの体になって、ちょっとそういうのは薄くなった気はする。なにせ必要ないからかもしれない。

 体に魂が引っ張られてるのかもしれない。なにせ今のこの体には生殖機能なんてのはない。一応あれはついてるが……それは自分の体を再現してるから……であって、必要だからついてるわけじゃない。

 でもそんな自分でも、あの体はなかなか……と思う。この世界の人たちは露出が多くて、薄手の生地は女性の肌を透かしてる。そんな人たちにも攻められたりしてたが、どうやら自分は色白の女性がいいらしい。

 

『邪念』

 

 おっとおっと、再び聖剣に文句を言われたら。とりあえずはこの戦闘が終わったらあの子に服を買ってあげよう。そう決意した。