でもネナンちゃんにはこれ以上の負担をかけたくない。それに、この龍が言ってたように、危険がある。それこそ消失とかしてしまう可能性だ。なにせ世界を支える力……エネルギーを受け入れることになる。いまだってネナンちゃんはそのエネルギーに苦しんでる。とても制御できてる……なんて言えない。
だから湧き出るエネルギーを私がつくってるアクセサリーへと移して、それでなんとか毎日を何の問題もなく過ごせるようになってるんだ。もっともっとネナンちゃんが成長すれば、自身から溢れ出てくるエネルギーを制御できるようになる可能性はある。
けど残酷だけど、はっきり言ってそれまでこの世界は待ってくれない。もっと事態がゆっくり動いてくれればもしかしたら……いや、そんなのはきっとなかったんだと思う。
「あの子はきっと耐えられない」
私は龍にそう伝えた。それは事実だ。そうなったらもう候補はいないのか、「残念」「無念」と帰ってきた。これは翻訳する必要ないくらいそのままである。このままではこの龍はもう限界で、そしてこの龍が機能しなくなったら、この世界は崩壊するんだろう。だって明の時に、世界を守ってる……維持してるのはこの龍なのだ。
もしもこの龍がいなくなったら、宵に飲み込まれることになるだろう。だって世界の外は宵だった。その宵からこの龍は世界を守ってる。龍がいなくなる時、その時が宵へと溶けて、世界はなくなるからね。
そして鬼たちが世界をくみ上げて、再びそれを龍が包み込むことで、明になる――そういう風になってるみたいだ。それがこの世界のサイクル。でもこの龍がいなくなったら、いつも通りに鬼たちが世界を再構築したとしても、その再構築された世界を包み込む存在がいないのだ。きっと私たちが思うよりも世界というのはもろいのかもしれない。
だから守って支える存在が必要。それがこの龍だ。つまりはこのまま、この龍の役目を引き継げないまま、こいつが完全に消滅したら、その時点でこの世界は終わり……詰みというわけだ。実際、ここまでのことを教会がねらってたことなんだろうか?
確かにあいつらはこの世界をぶっ壊して新たな地……約束の地へと至ることを目標にしてる。そしてそのためには早くこの世界をぶっ壊したい……と思ってる。けどこれでぶっ壊せて本当に約束の地への扉が開くんだろうか?
(どんな形でもいいの?)
でもそれは違うような気がする。だって私は神にあった。この世界の神に。神からしたら失敗しても、新たな世界を作るのは造作もなさそうだったけど、奴ら神はどうやら空獣におびえてる。だからこそ、文明やらなんやらを成長させて、空獣に対抗できるような存在を自分たちの世界から生み出そうと考えてる。
そうなると、世界は崩壊させても、その経験? とかその世界で生き抜いた人たちを次の世界で使って効率を図るのはわかる。でもここで 龍が死んでの世界崩壊は神だって想定外ではないだろうか? もともと伝え聞いてた話では太陽に到達したら……だったしね。
それにいつだって神が見てるのかもわかんない。もしかしたら神が気づく前にすべてが崩壊したら? 道は開けないかもしれない。だってどう考えてもこれは正規ルートではない。
まあ、させないんだけど。
「安心しなさい。あんたの力、私じゃないけど、私が受け入れられるものを作ってあげるわ」
なにせG-01ならできないことなんてないのだ。この龍の機能……それをなるべく引き継ぐような装置を作り出せば、万事解決だよね。