「う……なん……だ?」
何やらざわざわとした喧噪が眠ってたその人には聞こえてた。そしてさらにはこんな言葉も聞こえてくる。
「大丈夫かいお嬢ちゃん? こんなところで寝てたら危ないよ。親御さんとかどこにいるかわかるかい? それか身分証とか。スマートフォンとかあったら、連絡したほうがいいよ」
「何……言ってる? 近寄るな!」
そういって拒否を示す。けど、それにもなんだか困ったようにするだけで、投げやりな感じになることはどうやら目の前の警察官はないらしい。それにその人は不思議に思う。
「なんでだよ!? なんで俺なんかに……」
「何があったのかわからないが、僕たちは君の味方だよ。なにせ警察官は困ってる人の味方だからね」
「そうだよ。僕たちは君の助けになりたいんだ」
「そんなばかな……だって警察なんて、問答無用で牢屋にいれるじゃないか」
いくら警察官が優しい言葉をかけたとしてもその人は態度が軟化することはないらしい。むしろ、とても失礼なことをいってる。
「あはは、そんなことしないよ」
「うんうん、僕たちは君にそんな事しないよ」
「な……なんで?」
その人はなんか混乱の極みにきてるような感じではあった。もしも漫画的な表現ができるのなら、目がグルグルとしてるだろう。でも警察官の人たちもなんでこの子がこんなに自分たちに警戒してるのか……それがわかんない。
だって警察官なんて、普通は安心される対象だろう。それも、警察官が見てるような人には……
「なんでって、君のような女の子を問答無用で逮捕なんてできる訳ないじゃないか」
「そうだよ。まずは親御さんに連絡を取りたいから、覚えてること、話してくれないかな?」
「おんな……のこ? だれが?」
「「「ははは」」」
その人の言葉には警察官二人は一瞬きょとんとしたが、すぐに顔を見あわせて笑い出した。そしてその原因がわかってないのはその人だけ。そして次の言葉に衝撃を受ける。
「何言ってるんだい? 君のことだよお嬢さん」
「ああ、他に誰がいるっていうんだい?」
「は? え? はあああああああああああああああ!?」
そういわれてようやく自分の姿を見てみるその人。顔は見えないが、体はよく見ると、明らかに今までの人生でその人が見てたそれとはまったく違うものになってた。
それにようやく気付いたんだ。