世界の空に謎の複雑怪奇な魔方陣が広がった。けどどうやらまだ儀式は続くらしい。鳴り響く鐘の音。そして魔方陣……さて、次に何が来るのか……とか思ってると、何やらその広場にみすぼらしい格好の人たちが運ばれてきた。そこそこ大きな鉄格子? に数十人が詰まってて、全員が全員、手かせを嵌められた人たちだ。そこには男女、そして年齢の基線はないように見える。
「罪人かなにか?」
私はポツリとそんなことをつぶやく。だってね。ここであんな風にみすぼらしい奴らを持ってくるとか、なんか神聖な場が壊れるようなことじゃない? 罪人とか言ったが、実際本当に罪人なのかはわかんない。なにせ裁判長はいつだって教会である。奴らが黒といえば、白であっても黒になる。
そんなことを思ってると、聖騎士達のほかに、大聖堂の方に並んでる教会のローブに身を包んだ一人がなんかいう。多分偉い人なんだろうね。あの中でも。一際豪奢なローブに身を包んでるし、その手には身長よりも長い錫杖を携えている。
「さあ、その罪を洗い流せる機会をあたえよう」
シャンシャン――と錫杖鳴らすその人。きっと教皇とかそんな立場の人ではない出ろうか? するとその言葉を聞いた手かせを嵌められてる人が声をあげる。
「聞いてください! 我々はなにも――ぐう!?」
口を開いた男は後ろにいるこれも聖騎士だろう人にハンマーで殴られて倒れた。容赦がない。いきなりハンマーで殴るって……
「いや、あれでも容赦してるのかな?」
本当なら教皇にあんな風に意見を言うなんて極刑物なのかもしれない。ハンマーで殴っただけましで、本当ならさっくりと殺されててもおかしくないとか? てか聖騎士にハンマーって似合わないというか。これできれいなハンマーならまだわかる。けどあのハンマーすでに血とかでめっちゃよごれてる。
もしかしてだけどあのハンマーって彼らを殺さずにいたぶるためのハンマーなのでは? だってすでに何回も使われた跡がある。
「けどそもそもあの人たち、何の罪も犯してなさそうだけど……」
さっき彼が言いかけたことはきっと『何もしてない』ってことだと思う。あの見た目のボロボロさ的に、きっとこの中央で砂の上に住んでる人たちなのではないだろうか? てかそこそこいるからね。もしかして中央の最下層の人たちを全員集めてるんでは? ってかんじだ。それこそ三桁くらいはいる。
「全くみすぼらしい」「奴らは自分たちがようやく使い道ができたことに感謝するべきだ」「これでドリランドはより神聖さが高まりますわね」
とかいってる中央の人たち。そこには彼らを憐れむ声なんて一つもない。やっぱりきっと最下層の人たちなんだろう。そんな人たちを集めてやること……きっとろくでもないね。