巨大な聖騎士が大きく後ろへとのけぞる。けど次の瞬間、何やら再びフレートレートが足りないように巨大な聖騎士の姿がガクガクと見えたかと思うと、なんか態勢が戻ってた。そして今度はG-01にパンチをされた。さすがにこの変な感覚でのパンチをよけるのは難しかった。その巨大な腕で繰り出されるパンチはそれだけの膂力を誇ってるらしい。
G-01が吹っ飛ぶ。その内部にいる私にもぐわんぐわんと衝撃が伝わってくる。痛いわけじゃないけど、ちょっと気持ち悪く……はならない。なにせ四六時中ここにいるのだ。もう慣れたよね。
「やってくれたね!!」
私はそう言ってG-01が倒れる前にうまく体を操って態勢を立て直す。そうして足裏のブースターを吹かして一気に詰める。そしてナイフをふりかぶる。それに対して巨大な聖騎士は腕を立ててナイフの方向にだしてきた。聖騎士のどこら辺が生身なのかわかんないが、その様子的にやっぱり頭やら首やらを守ったかのように見える。
「生物なの?」
まあけど、実際普通の人間サイズの聖騎士たちは、勿論だけど中身は人間のはずだ。だったらそいつらを素材にしてるかもしれないあの巨大な聖騎士は『生物』といえるのかもしれない。
「なかなか固いじゃん」
G-01のナイフは二の腕の中頃で止まってしまった。ちょっと侮りすぎたかもしれない。なにせ普通に振るったからね。G-01の力だけでどうにかできるかな? とか思ったけど、私が思ったよりもどうやら巨大な聖騎士は強かったらしい。
けど私も本気ではなかった。いいわけじゃないよ。だってこのナイフの本来の性能を出してないからね。きっとそれをやってたらスパッとこの巨大な聖騎士の腕を切ってただろう。いや切ってた。断定できる。だって何も使わずに中ほどまで切れてるからね。
本気出してたら真っ二つは間違いない。いや絶対。このナイフには超振動する機能がある。振動したら切れ味がアップするのだ。でもさっきはそれを使ってなかった。
実際なんで振動したら切れ味がアップするのか……そこらへんはよく理解してない。もちろんG-01にはそこら辺の解説もある。でも前提知識とか必要じゃん。よくわからない。
でも実際、切れ味はかなり変わる。巨大な岩肌だって、振動してたら、なぜかスパーーーと切れるのだ。
「そこまでは……と思ったけど、敬意を払って使ってあげる」
そういって私は振動をオンにした。そしてその瞬間、巨大な聖騎士の左腕が飛んだ。