「はあ……」
そんな大きなため息を野々野小頭はついてた。なにせ彼女は別にそんなにオカルトに興味があるわけじゃない。じゃあなんで不思議研究会なんてオカルトな部活……というか同好会――に参加してるのか言えば、一言で言えば楽そうだったから……である。友達とかで放課後はいつも遊ぶ想定で、そのために楽そうなところに所属しただけである。
なのに……だ。なのに……
(こんな休日のたびに訳わかんないところに連れ出されるなんて……)
不満たらたらな野々野小頭である。もちろんちゃんと言えば、友達との時間もくれるが……最近はなんか友達が草陰草案に遠慮をしだしてるところがある。
野々野小頭と草陰草案は別クラスだ。けど……草陰草案は放課後になるといつだって最速で「部活いこー!」と教室までやってくる。それが定番化してしまうと、幽霊部員で一緒につるんでた子たちだって「今日も来るよね」ってなって野々野小頭は最初から誘わない……ってことになってしまってる。
もちろん学校では仲良くしてるが、放課後はなんかはもう部活の時間……みたいなさ。そんな感じになってしまってるのに不満たらたらである。
本当はもっとキラキラとした女子中学生時代を過ごしたかったとおもってる。なのに中学生活、こいつに振り回されてきたって感じだった。もちろん、それが楽しくなかったか? といえば、それなりに楽しい。思い出はおかげでいっぱいある。散々なことが多いと言えば多いが、それでもこうやって振り返ってみれば、それらは実際かけがえのない思い出だ。
だからこそ、いやいやながらも、なんだかんだ付き合ってるってのはある。けどそろそろ彼氏だってほしい野々野小頭である。それなのにオカルトを追いかけてては変な奴認定させてしまう。
というか既にされてる。
(このままじゃ彼氏ができたとしても……)
ちらっと野々野小頭が見たのはついてきてるおっさん連中である。そんな彼らを見て、野々野小頭の体は震えてくる。
(あんな、まさにオタクって連中としか付き合えないとかになったら……私の青春……)
怖い……怖すぎると野々野小頭は思った。その時、ガシャン! ――と大きな音がしてビクッとした。なにかいる? とおもって全員が隅の暗闇を凝視してる。すると次に「にゃー」と聞こえて、黒い猫が出て来た。
「なんだ猫……」
「これは何かの使者かも?」
とか彼女たちがいってると、後ろのおっさんたちが「ひいいい!?」と言ってた。本当に大人なのに全く頼りにならない……とあきれる野々野小頭だった。