uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 930

「なんだなんだ?」

 

 そんな声が周囲から聞こえてくる。それはアズバインバカラの人々とも、外から来た人達の間からも上がってる。まあそれはそうだろう。なにせドローンがいきなり一人の男の頭を鷲掴みにして空中に持って行ってるし、それにドローンが四機集まって映像を映し出す。

 そこには勇者の姿が映ってた。

 

『皆さん、落ち着いてください。といってもそれが難しいのもわかります。疑心暗鬼になってたら周囲の誰をも受け入れるなんて出来ないでしょう。でも安心してください。

 今回の事件は外からこのアズバインバカラへと来た人達のせいではありません。これは全て、教会の刺客のせいなのです』

 

 そんな勇者の言葉が響く。最初はどっちも空に映った映像にざわざわとしてた。まあアズバインバカラの人達はなんか黄色い声が混ざってた。なにせ勇者はなかなかに人気だからだ。それにちょっとムッとした。まあけど、勇者は私の部下だし? せいぜい手に入らないアイドル気分で見てればいい。

 外からここに来た人達はその映像がどうなってるんだ? って事でざわざわしてた。まあ私達の常識外れの行動やらなんやらの事はアズバインバカラの人々は流石になれてきてる。あとはジャルバジャルの人達もそうだろう。でも外から来た人達はこの世界の標準的な常識しか無いだろうから、このアズバインバカラの生活はそれこそほぼ驚きしか無い。

 テクノロジーなんてものには耐性がないのだ。だからこそ映像を空に映し出す……なんてことにも「なんだこれは!?」となってるのだ。でも説明なんてしない。そもそもがなんて説明すれば理解されるのかわかんないから、勝手にそんな『魔法』と思ってもらうしか無い。

 便利な言葉『魔法』である。

 

『そしてこの人がその刺客です』

 

 そう言って光の縄で拘束されてるただの人を映し出す。すると、所々で「あの人……」とか「あのときの……」とかいう声が聞こえる。どうやら見たことある人が多々いるらしい。まあ実際あいつは教会の刺客だが、外からアズバインバカラへと入る人達に紛れ込んで入り込んだらしいからね。

 なにせだ、なにせこの世界、戸籍なんて制度はない。なのでそれぞれの街でどれだけの人いるかなんて把握されてない。大体は把握してても、正確な数字ではない。だから確認する事に意味なんてないってことで、全てを受け入れてたんだ。だから簡単に紛れ込むことが出来たんだろう。

 まあ実際そこまで多い人口ではないと言っても、一つの街には少なくて五百から二千、中位で二千から四千。アズバインバカラなら六千くらいはいるかもしれないくらいだ。

 それらを把握する方法なんてこの世界にはない。なので確認なんてしても意味なんてない。近所とかなら皆が顔見知りだ。顔が広いと言われる人ならそれこそ町名に轟くほどになるくらいであるが、まあ誰もがそんな訳はないからね。

 流石に一人ひとりを確認するために「この人知ってますか?」なんてやってたらそれこそそれだけで何日もかかってしまう。それは流石に現実的じゃない。それにこの世界には宵がある。外に出してると消滅してしまう。だから中に入れるしかない。

 

「あの人が……本当に?」「そうだ……俺はあの人に良くしてもらったぞ」

 

 なんかそんな声が聞こえてくる。確かにただ縛られてるだけでは実際信じられないかもしれない。なにせ目立たないためにも、周囲の人にはそれなりに親切をするくらいはやってるだろうからね。

 かばうやつだって出てくる……か。

 

『ちが……う。俺は……無実……無実なんだ!!』

 

 縛られてるやつが映像を通してそんな事を叫んできた。するとその必死さに更に疑惑が強まっていく。けどそれでも勇者に焦りはない。だって、ネタは上がってるんだからね。まあけど一般人からしたら、上が勝手に都合のいいヤツに罪をなすりつけてるだけ……の様に思うかもね。

 でも普通に下手人を喋らせてるのも、墓穴を掘らせるためである。下手人であるあいつは見てる人たちの同情を誘ってなんとか釈放される道を模索してるようだが……あいつの未来は捕まった時点ですでに決まってる。