「え?」
目の前のことが理解できなかった野々野小頭。いや、違うかもしれない。理解できなかったんじゃない。理解したくなかった……が正解だろう。だって襲ってたのは大の大人で腹も出てる様なおっさんだった。おっさんだとしても、相手は成人男性だ。
そして襲われてたのは制服を来てたからあのギャルは学生だろう。野々野小頭はあのギャルを自分よりも上のように感じたし……そもそもがさっきのギャルの制服は兄の……野々野足軽の学校の制服だっだ。
だからこそ女子高生だ。さっきのギャルが部活動にいそしんでる……とも思えないし、それで男性に力で勝てるなんてことはないだろう。普通は……
(うん、普通は女の子が男性に力で勝てるなんてことない。ましてや、足蹴にして男性を吹っ飛ばせるなんて……ありえない)
そう野々野小頭は思う。けど現実だ。なにせ野々野小頭はそれを見た。一体何が起きたのか……目の前のギャルは仰向けに倒れたまま、その足を上げてた。きっとそれは男を足蹴にした状態のままなんだろう。
(見えてる……)
ばっちりである。なにせギャルはスカートを限界まで上げてた。それなのに、今や倒れてる状態で足をあげてるのだ。丸見えである。けど別に野々野小頭にはそっちの気はないから、なんとも……なんとも……
(高校生って大人っぽい)
――そんな感想を思ってた。なにせ相手は黒と赤が折り合った派手な色の下着だったからだ。自分では絶対に選ばないような……そんな下着。やっぱり高校生は違う……とかこの場にそぐわない事を考えてた。
「あ……がっ……がああああああああ!!」
それは男の方じゃない。パンツ丸見えのギャルである。大きく地面に広げてた腕の先……その手の先の指……それを力強くひっかく。そのせいでせっかくつけてた付け爪が飛んでいく。
パキンっ――パキンっ――
という音が野々野小頭の耳には届いた。そして彼女はまずは胸を大きく反らした。そして腕を使っておかしな感じで体を起こそうとしてる。その間もパンツは丸見えだ。いやいや体の使い方おかしいっしょ……と野々野小頭は思う。
普通はそんな起き方はしない。変な起き方をしてるから体が変に揺れてる。不安定だ。普通ならまずは足を下ろすだろう。けどなぜかギャルはそれをしない。その時点でいやな予感してた。
そしてギュイン――と言う感じで突然顔を上げたギャルはよだれをたらしながら、どこを見てるかわからないような目で――
「あがああああああああああああああああああああ!!」
――と叫びだす。そう、彼女もまた、正気を失ってる。