「皆さん！ え？ ジーゼ様？」
世界が守る可能性はある。けど実際のところ、そこまで世界は過保護でもない……と思ってもいる。なにせ何回か死にそうになったことはあるからね。
「これ……何かが伝わってくるようです」
そんな事をいったネナンちゃん。するとその時だ。何やら私があげたピアスから変な情報が伝わってきた。でもそれを確認する前にネナンちゃんは動いた。
「危ない！ です！」
手を前にだすネナンちゃん。その先にいるのは勿論だけどメタリファーだ。そしてその本体へと進むジャル爺達。彼らが髪の毛に触れてもなんともないのはG-01がその影響をかき消してるからだ。でもメタリファーも……というかその中の教会の魂はなんとか私たちを倒して自分たちの魂を楽園へと誘おうとしてるんだろう。
だからこそめちゃくちゃに力を使おうとしてる。それでも簡単に引き出せるような力じゃないし、実際時空間の力なんてのはきっととても繊細なはずだ。なにせ時間と空間に干渉してるんだ。そんな魔法は高度な魔法だ。
そこまで高度に発達してないこの世界の魔法しか知らない教会の奴らがそれらを操れるなんて思えない。さっきからどうみてもその補助をメタリファーがやってる。そうじゃないと暴発とかする筈だ。まあもしかしたら暴発したら自身も巻き込まれるから……最低限の補助をもしかしたらやってるのかもしれないが。
「そもそも明け渡してる時点で……ね」
今のメタリファーは完全体といっていい。隠されてた目もいまや開放してる。だからその光があふれてるような目が何やら粒子を発してた。それをすぐさまネナンちゃんはヤバい――と感じとったみたいだ。
だからこそその手を伸ばした。そしてネナンちゃんはその手の先に複雑な魔方陣を展開した。とっさなのに幾重にも重なったそれ。それに……だ。
「ネナンちゃんの眼球にも……」
なにやら魔方陣が浮かんでる？ そして驚いたことはそれだけじゃない。なんと……だ。なんとネナンちゃんは対応できない筈の時空間の力をとっさに出した魔法で打ち消してしまう。メタリファーが出した光……それに対応するような光のシャワーをとっさに出した。それは一気に飛んで行って髪の毛を滑ってるジャル爺たちをも超えてメタリファーの体へと降り注ぐ。するととても苦しそうにメタリファーはしたのだ。
「ネナンあなた……何を？」
「え？ え？ 私夢中で……でもなんだか皆危なそうで……」
私はさっきのログを確認する。すると面白いことがわかった。それは私がさっきネナンちゃんへとつけたアイテムの空洞化だ。私が仕込んでた術式……コードとかプログラムとか言ってもいいそれが、根こそぎなくなってる。
そしてそれがどこに行ったのか……それはきっとネナンちゃんだろう。そしてその術式は時空間へと対する為のものだった。それをネナンちゃんは自身の中へと吸収したんじゃないだろうか？ だからこそ、ネナンちゃんは対応できない筈の時空間の力に対抗することができた。
でもこれって……
「サンクチュアリ……とんでもないわね」
ってことだ。
