(私の中に……みんなの声が届いてる)
不思議な感覚だった。それに私みたいな子に……とも思った。でもそれは両親の声で自信に変わった。気の性なんかじゃない。だってお父さんとお母さんはお空から見守ってくれてる。太陽のその先の空……そこで私は実際にお父さんとお母さんに会ったんだ。
二人はいった。
「皆がネナンの事を愛してくれてる」
「ネナン、貴方の幸せを皆願ってくれてるわ」
そんな事を言われたら私の幸せ、そしてみんなの幸せの為に頑張らないわけにはいかない。だってもう私以外にこの世界の皆は……私が助けるんだ! 私は皆に愛を貰ってた。だから私も、皆を助けて、愛を返す!
「ポニちゃん、私を助けてくれる?」
「ぽに!」
私は今、ポニちゃんに包まれてる。それが何よりも力強い。それに私の中からあふれ出るようなこの力……いつもなら苦しいだけの力だ。何とか耐えて、それをジーゼ様が用意してたくれてたアクセサリーに詰め込んでた。けど今はそれをポニちゃんが請け負ってくれてる。
ポニちゃんは不思議だ。いつだって限界を感じてたのに、ポニちゃんにはそれがないように感じる。どこまでも高めていける。そして濃くなっていく。ジーゼ様があの存在に大きなダメージを与えてくれた。亀裂が見える。
今の私にはあの存在に取りついてる邪悪なものが見えてるんだ。それがきっとあの存在をこの世界にこだわらせてる。だってあの存在に憑りついてるそれは私に強い憎悪を向けてるのがわかるんだ。
「認めない! 認めない!! 貴様の様な存在はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そんな声が聞こえてくる。普段の私なら、この声に震えてうずくまってしまうだろう。けど今の私は違う。私はまっすぐに見据えることができる。怖いけど……怖くない。
だってみんなの意思を私が背負うって決めたんだ!!
まずは先にアイさんが砲撃を叩き込む。それは何やら沢山分裂してその攻撃を回避しようとしてる。あれは何度もみたからそういうものだということは理解してる。あれをやられたらダメージはなかったことになっちゃうのだ。
けどそこに勇者様がその剣を振るった。光を凝縮したようなその剣が、分裂したあの存在の全てを叩き切った。横一線……それによって、一気に分裂した存在はその全てにダメージを叩き込まれて傷をそのままに一つになってふらついた。
そこにポニちゃんが走って迫る。その腕に私は力をためる。
「お願いポニちゃん!!」
「ポニイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」
あの存在は最後の抵抗かその髪の毛を一斉に向けて来た。ポニちゃんは避けない。その髪の毛が大きなポニちゃんの体を削っていく。それでも私の所はより強固に守ってくれてる? どんどんと削られていく大きなポニちゃん。すると目の前にいつものサイズのポニちゃんがいた。
ポニちゃんが私の手を引く。そしてうなづいたような動作の後、私を投げ出す。私はあの存在の目の前にいた。最後は私の手でって事!? 私は目をつぶって右手を開いた。
「えぇーーーーーーーーい!!」
ペチン――きっとそんな情けない音しか出なかったと思う。でもその瞬間、目の前の存在……それに憑りついてた黒い影がはじけ飛ぶ。それと共に、私の中に何かが流れ込んできたんだ。