uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 469P

 確実に彼女は頭から床に落ちて、変な音もした。けど動き出すのは早かった。首だけで体を振るって桶狭間忠国を今度はあっちが投げた。けど桶狭間忠国は軽く回転をして格好よく着地。
 そして二人の視線が交差した瞬間に、二人の拳がぶつかった。その拳の違いは歴然のはずだった。それは大きさや太さ……力強さといってもいい。だって桶狭間忠国は成人男性から見てもおかしいくらいにデカい奴だ。この日本という国ではその体格は珍しいだろう。
 
 それだけの体格だから、女性の平均くらいの体格の悪魔の様な女性とは拳の大きさからして歴然の差がある。本当ならぶつかり合ったら、女性の体の方が負けるのが当然だろう。
 だってそういう物なんだから。男にしても体格がいい桶狭間忠国に、女にしても普通の――そこそこグラマラス――な女らしい体形の彼女。肉弾戦では男と女のスペックは明確だ。
 それは古代から男が狩りをしてきて、女が家を守ってたことから明白だろう。でも……そんな常識……古代から現代まで続いてる筈の肉体的スペックの差……それをどうやら彼女は超越してるらしい。
 
 なにせまともに桶狭間忠国と殴りあってる。頭からは血を流してるからダメージがないわけではないだろう。けどそんなのは関係ないとばかりに拳をぶつけてる。拳だけではなく、尻尾とか脚も彼女は激しく使ってるが……
 しかもその攻撃がもう人間のそれじゃないような……拳と拳のぶつかり合い。それは本来ならそんな派手なものじゃない。実際はただの人間の一対一の戦いなんてのはそんなに派手なものでもないだろう。
 実際ドカーン! とかバカーン! とかそんな音が拳のぶつかり合いで出る訳もない。そんなのは漫画の誇張表現の中だけである。そのはずだった。でも……桶狭間忠国と悪魔の様な女性のぶつかり合いではそんな常識は通用しない。
 なにせ彼らの拳がぶつかるたびに硬い金属がぶつかるような音が響き、さらには大きな風圧が吹き荒れる。そんな戦いが繰り広げられてる。
 
「くっ!? こんなの……ついていけな――いっ!?」
 
 そういうアンゴラ氏の目の前にいつのまにか拳が迫ってた。もしかしたら埒が明かないと判断した女が先についていけてないアンゴラ氏を倒そうしたのかもしれない。
 そしてそれを、桶狭間忠国が防いでくれた。なにせその瞬間までアンゴラ氏は全く気付かなかったんだから桶狭間忠国が防いでくれなかったら、きっとアンゴラ氏は……
 
 思わず彼は後ろに尻もちをついてしまう。手のひらで女の拳を受けた桶狭間忠国の拳からは血が出てた。床を殴っても出なかった血が出てる。それだけで威力がわかるというものだ。もしも……もしも今の攻撃がアンゴラ氏に当たっていたら? 
 そんな事をアンゴラ氏は考えていきなり呼吸がし辛くなり、胸が苦しくなった。闘う覚悟……それをしてた筈だけど、彼はそれでも舐めてたのかもしれない。いや、『力』を持ってることで『自分ならなんとかできる』――そんな思いがあったんだろう。
 でも今の瞬間、確かに「死」はそこにあった。それを実感した瞬間、ただのオタクだったアンゴラ氏に恐怖が襲ってきたようだ。