「気持ちわる……」
思わずそんな風に声を出してしまう。なにせでっかい目玉に揺らめく触手。目玉の所はなんか機械的なんだけど、触手のうねうねしてる部分? 先端はそれこそ機械の様な爪だけど、うねうねしてる部分はとても生身っぽい。
だってなんか細かい毛がたくさん生えてるからだ。機械にはそんなのは生えないじゃん。まあ目玉の目玉部分も生身っぽくはあるが、その目玉を包んでる瞼的な奴は機械なんだよね。
あれはもしかして目玉に触手がついてる生命体が、この残骸から必要なパーツを加工して装備してる……と考えた方が良いのかな? 面白い生命体もいるものだと私は思う。
だって目玉だよ? どこで考えてるの? まああの目玉かなりデカいからね。その中に脳みそとかもあるのかもしれない。目玉だけど小さいのは一メートル、大きいのはそれこそ三メートルくらいはある。
ちなみにそれは目玉部分だけだ。もしも触手部分を広げたらそれこそ十メートルを超える個体もいるだろう。そんな大小さまざまな目玉たち。それが無数にこっちをみてる。あまり気持ちのいいものではない。
「なに?」
「これは……」
「どうやら陣形を組んでるようです」
最後のアイの言葉……それは正しい。ミレナパウスさんも勇者もおどろいてたのはそれだ。だって……脳みそなんてなさそうで、知性なんてものがあるとは思えないような……目玉の怪物だよ? それが陣形を組んでる。そいつらは四体ずつで横にならんで、それを横に三列、そして縦に三列として構成してる部隊を七十くらいは作ってるね。そして一際大きな奴の周囲にはちょっと形を変えて小型が展開してる。
大きな奴を中心にしたひし形で立体的な配置。
その大きいのは三体はいるから、かなりの数がいることになる。これだけ組織的に運用できるって……これはかなりこっちも気を引き締めないといけないかもしれない。
『皆さん気を付けてください』
私はそういった。そしてまずは前方に展開してる奴らが足並みをそろえてこちらに向かってくる。そしてそれだけじゃない。後方からは援護射撃がその触手の先端から一斉に放たれる。赤い光線の一斉掃射。それによって私たちを分散させて、それぞれの部隊で孤立させて叩こうという魂胆か。なんとなくで私たちはそれぞれでよけてしまったけどそれは悪手だったらしい。既に近くまでそれぞれの部隊の敵が接敵してた。