「もしかたらいいことがあるかもしれません」
そんな事をいうアイ。そしてそれと同時に、硬く閉ざされてた通路の扉が開く。まあ別にわざわざシステムを掌握して開く必要があったのか? と言われたら疑問符が残る。だって別に……ね。
そんな事をしなくてもG-01なら無理矢理扉を開ける――なんて事は普通にできるのだ。
『いい事?』
私はそんな言葉を伝える。まあアイはもともとは私の手助けをするためにG-01に組み込まれてた高性能AIである。だからこそ、ある程度の知識というか、データをG-01と共有してたわけで、その知識は膨大といっていい。その知識を使ったのか? でも流石のG-01でも全ての世界の知識を持ってる……とは思えない。いやあり得る可能性もあるけどね。
「はい、この船のデータはとても貴重そう――」
扉が開いた瞬間だった。そこにはさっき闘ってた目玉がいた。まあ内部にいるんだし、そんなに大きな個体じゃない。そいつがタイミングばっちりで扉が開いて、その触手が差し込めるくらいになった瞬間にそれを差し込んできた。
それは明らかにアイを狙ってた。私はすぐにG-01を動かした。私がいるのに不意打ちなんて許すわけない。私はG-01の手でその触手を強引につかむ。
「うおおおおおおおおおおおお!!」
そういって勇者が扉の先に飛び込もうとしてる。私はつかんだ触手を強引に引いて、扉の向こう側の目玉を扉に叩きつけた。バチーンとね。それによってその形に壁と扉が膨らんだけど、これで逃れられなくなったところに、勇者が聖剣を使ってスパッと斬ってくれた。
やっぱり一体くらいでは敵ではない。油断してたら危ないけど、互いにフォローしてるから、そんな易々と虚を突かれたりしない。
「さあ、いきましょう」
そういうアイは礼の一つもない。いや、いいけどね。別に……ね。だって私たちは仲間だし? 当然の行動だよね。いちいち礼を言ってたら面倒なだけ。それにそういうのを求めてやった行動じゃない。
それからアイはなんか迷いなく進んでいく。複雑そうな艦内を進み、一つの扉の前にきた。そこは流石にG-01では入れない。あくまでもこの船もサイズ感的に想定されてるのは普通サイズの人型サイズみたいだからね。
でもかなりの大きさの船だから大きな通路はG-01でも通れた。でも流石にどこもかしこもそんな巨大に作られてるわけじゃない。だから私は寂しいけど、ここで待つことにした。