「またか……」
ただ時々『声』が聞こえてた。それは苦しがってたり、不安がってたり、時にはうれしい喚起の気持ちの声とかもあった。それを野々野足軽はどう思ってたのかというと……
『また、新たな力に目覚めてしまったか……』
――とかそんな風にくらいにしか思ってなかった。だって色々な力を使える野々野足軽である。ある日突然、新たな力が発現したと思っても仕方ないだろう。
でもそれは本当に散発的で、そして実は野々野足軽の意思ではなかった。だから――
『あれ? これは変だな?』
――とかおもってたのだ。でもそこまで害はなかった。そうこうしてる間に、時々夢に見知らぬ人の視界が映る様になった。けどそれを見た時だって野々野足軽は――
『今度は予知夢か。超能力者っぽいな』
――とか思ってた。でもなんかおかしいぞ……と思ってもきてた。何回も見てたそれは……別に何か特別な事が起こることはなかったからだ。予知夢というか……どっちかというと誰かの日常を見てる様な……まあ時には何やらアウトローな奴らの日常を見たこともあった。
腕やら顔にタトゥーを入れまくって腰には無造作に入れた拳銃。そして集まって怪しげな薬を使ってるような……そんな日常を見たこともあった。
それがなんなのかわかってなかったが、次第に強くなっていくピリピリとした感覚。そしてある時、苦しいそうな声と共に、何かが割れるような感覚とそこからあふれ出る力を感じた野々野足軽。
なにかまずいことが起こると思った野々野足軽は授業中だったけど、トイレといって教室を抜け出して感覚に従って飛んだ。
それによって最初の目覚めの……その暴走によって無暗に殺される命を救った。けどそれからどうしていいのかはわからなかった。だって力は目覚めてしまった。
ただなんとか事態を人知れず収拾させて、遠視で監視するくらいしかできない。でもそんな事をやってるときにも新たなピリピリとした感覚はきてて、次々と世界では力の目覚めが起き始める。