あれから私たちはどんどん上に上がっていった。実際途中くらいで、やっぱり下もちょっと気になるな……とか思ったけど、私はそれを口に出すのはやめた。なぜなら私は指を切り離して途中からそれに下の方へと進むんで探索をしてもらってるからだ。
私たちが分かれることも考えたが……それは戦力の分散である。愚策だ。実際勇者とアイなら大抵は大丈夫だろうと思うけど……あの目玉だけが敵とは限らない。まあスキャンした感じでは目玉以外の反応はないけどね。
でも私には……というかG-01の指は勝手に動けるドローンのようなもの。ならばそれを使わない手はない。それに指くらいなら簡単に再生できるのでこっちとしては損耗もないのだ。
だからこの船の塔の下へと指を行かせてる。どれくらいまでが通信範囲なのか気になるしね。ミレナパウスさんの世界では中継ドローンを逐次生産して、飛ばして通信範囲を広げてたけど……実際あの世界は通信状況が良くなかったからあんなことをしたまである。
なんかあの世界の砂は特殊な磁場を放ってたのか、通信性能を著しく落としてた。でもここではそんなことはない。たくさんの船が残骸のように積み上がってるが、なぜか物体的な障害をほぼ受けてない。実際ここに存在してる……はずなんだけどね。
でももしかしたら……
「メタリファーが私達のこと……」
そこまで考えて私は頭をふった。流石にありえない。確かに私達には気づかれずに干渉することができるかもしれない。でもG-01にはそうはいかないはずだ。まあもちろんG-01はとても高性能だけど、完璧ではないかもしれない。
でもだからこそプチュオクミという存在が併用しているんだろう。つまりは私だ。機械的なG-01と生物的な私という存在でそれぞれ、いろんな対策を講じてるってことだと思う。いや思ってる。
だってでないと私がここにいる意味がわからない。実際効率よくG-01を運用するだけなら、何もわかってない私よりもアイのようなAIでいいのだ。なのにG-01を動かせるのは私だけなんだ。
ならやっぱり私の存在には意味があるわけで……それはきっと機械だけでは抵抗できないこともあるから何じゃ? と最近おもってる。そして私のような生命体では抗いきれないことももちろんある。
だから私達は互いに共生するようになってるんじゃないかな? 私が成長するとG-01も成長してるのはそういう事……かもしれない。
まあとりあえず下の方は指に任せて、私達は上へ上へと行く。すでにたくさんのデータを船から得てる。もちろんなんのデータもない船もいくつもあった。けどある程度大きな船には文明の跡があって多少のデータはあるものだ。そしてそれを集めて行くと面白いことがわかってきた。
「これって……どれもこれもG-01の中にはないような……」
いや、完全にないわけじゃない。似たような理論やら技術のデータはG-01にもある。けど全く同じじゃないし、そこそこ違う。だからこそなかなかに良いデータとして、G-01の糧になってるのだ。