「ごくり……」
そして夫婦の寝室とかそれぞれの部屋をみていった。そして二階へ。そしてそこで奴はみた。それは野々野小頭の寝てる姿を……だ。しかも今は夏だ。エアコンをつけてるといっても、今の時期はだいたい薄着だろう。
それは小頭も例には漏れてなかった。それに自宅のさらに言えば自分の部屋だ。タンクトップと短パン姿の野々野小頭。それに薄い毛布一枚をかけてるだけ。実際毛布は上半身の一部にしかかかったなかったから、タンクトップはなんかはだけてるし、生脚はそのままお出しされてる。
「はは……これは……」
「うーん」
ごろりと寝返りをうつと、背中側がみえる。タンクトップの奥へと伸びる浮き出てる背骨。犯人は鼻息を粗く小頭へと近づいた。それから……小頭はギシっという自分以外の体重に傾くベッドに違和感を覚えて目覚めた。
そしてこれまでの経験なのか、悲鳴を上げるよりも早く小頭は手を上げた。
ゴッ!
――と鈍い音と共に男がのけぞる。その隙に小頭は男の脇を通って扉を目指してた。でも肩を掴まれて成人男性の力で反対側に振り回される。そのせいで小頭はタンスに勢いよく飛んでいった。
「いっつ……」
右腕を強打した小頭はそこをおさえつつ前に進む。けど既に男は目の前にいた。さーと顔が青くなる小頭が見えた。両手を広げて一気に両側から男は小頭を抱きしめる。そしてそのまま持ち上げた。
「やめ!? きゃああああああ!!」
じたばたしつつそんな声を上げるが、そのまま男は移動して小頭を再びベッドに背中から落とした。ベッドのスプリングがギシギシといいつつ小頭の小柄な体を受け止める。そしてすぐに男もそのベッドに体をあげてきた。男の視線からはベッドに仰向けに倒れてる小頭がすぐそこにあった。
そして男の視線は小頭の胸、鎖骨、首、そして口元へといった。
「いっ! いやあああああ!!」
小頭は近くにあった枕で男を叩く叩く。さらには脚も適当にうごかしてなんとかしようとしてる。そんな悪あがきが功を奏したのか、そこに母親がやってきた。多分買い物帰りなんだろう。家の二階から何やらバタバタと聞こえるから、母親はただ注意しようと「何してるの小頭?」とか言いつつガチャっと扉を開く。そこで見たのは自分の娘が襲われてる光景である。
これには母親もびっくりだ。ここですぐに通報……とかしたらよかったのかもしれないが、自分の娘が恐れわれてるのだ。母親は勇敢にもむかっていった。
「や、やめなさいいいいい!!」
手に持ったエコバックを振りかぶって渾身の力で男を殴る。そこそこの物を買っておいたおかげか、その威力はなかなかのものだったのか、肩口にそれを受けた男は痛そうにうずくまる。エコバックの中身が大変なことになってそうだが、そんな事よりも母親は小頭を伴って部屋を出た。