「ええーふーん、ええーはぁ……不思議ねえ」
「おい、なにか言いたいことがあるのか?」
「なるほど、うんうん。けどね小頭ちゃん」
「はい?」
「男は顔じゃないよ」
「おい! なんだそれ」
「けどそうは言っても、ブサイクよりは格好いいほうが良いですよね?」
「お前も何もなかったように続けるよな!?」
顔じゃないとか……それは顔が良くないやつに対して擁護する時にいうやつだろう。優しい人――ってやつが他になにも褒めるところがないから使うようなさ……そんなのではないだろうか? それに二人は顔の良し悪しでは対立してなくて、そういう所じゃない論争にいってる。
つまりは二人して野々野足軽の顔……その……うん――って事に同意してるということに……
(お、俺ってそんなに酷い顔してたのか?)
ちょっと自信がなくなる野々野足軽である。実際、足軽は自分がイケメン――なんて大層な自信は持ってない。それに平賀式部と比べると見劣りするのも確かだろう。一緒に並んで歩いてても、きっと恋人ではなく、親しい友だち? くらいにしかみられないだろうって事もわかってる。
でも自分たちでちゃんとわかってればいいんだと……そんなのは気にしないようしてた。二人で納得して付き合ってるのだ。それを他の誰か……第三者に非難されても、それは二人には関係なんてないんだから。
そうおもってた。でもこうやってあからさまに……それに眼の前で言われると……心が痛む野々野足軽だ。
「小頭ちゃん、今はわからないかもしれないけどね。やっぱり大切なのは顔じゃないよ。きっとこの彼女さんは、足軽のいいところをいっぱい知ってるんだよ」
「いいところ?」
「なんでそこで疑問形なんだよ」
この妹は……と思う野々野足軽であるが、実際そのとおりだから、なんの反論もできなかった。