「よくなってるね。すごいよミレナパウスさん」
そういって私を褒めてくれる勇者様。この人から見たら私の戦い方なんて全く持って拙いはずです。だって、私からみてもわかるくらいに勇者様の戦い方は洗練されてます。
その輝く剣にふさわしいと言える戦い方。私はそう思う。危なげがなくなった私達はペースを上げて進みます。時々アイさんが船の情報を抜き取るために止まったりもしますけど、それにもどうやら慣れてきたのか、アイさんは船が変わるタイミングでその船のシステムに干渉してるようです。
どうしてるのかはわかりません。でもおもむろに壁を破壊して手を突っ込んでますから、何やら内部のなにかに接続? してるんでしょう。前はそれこそ中枢までいってそこの機械に接続しないと行けませんでしたけど、そこまでしなくとも大丈夫になった? んでしょうか?
上に上に……と進む私達。それに伴って波のようにきてた目玉達も、途切れることなくてあふれる様になってきました。前はそれこそ波の切れ目というのかあって、そのタイミングで息を整えてました。
でも今やもう、そんなのはないです。もうまるで目玉が詰まってるトンネルを進んでるかのような……そんな状態でどこに行っても目玉たちがいます。しかもなにか……なにかちょっと目玉たちが濡れてるような? そんな気がします。それにもっというと、目玉たちがキレイなような? これまでも別に目玉たちは汚かったわけじゃないです。
普通に綺麗ではありました。でもよく見ると傷とかが節々にはありました。でも今戦ってる目玉たちにはそういうのが見えないのです。まるで……まるでそう……
「今生まれたような……」
私は目玉にパンチを叩き込みながらそんなふうにつぶやきました。すると勇者様も同意してくれます。
「ああ、それにこいつらは何やら動きが拙い」
拙い? 流石にそれには気づきませんでしたけど……でも勇者様が言うのならきっと間違いないでしょう。私は眼の前の敵を叩くので必死ですからね。それにこれだけの多さ。もう戦うことにしか集中できません。他の事を考えるなんて余裕がないです。
なんかいままでもよりも綺麗だなーとはなんとなく気づいただけですし。濡れてるのはわかりやすいですけど。
「製造されたばかりだとするなら、これだけの多さも納得です。この先にこいつらの製造工場があるのかもしれません」
アイさんがそういう。なるほど、この目玉たちが作られてると……その発想はなかったです。なにせこういうモンスター的な存在は湧き出てくる……というイメージでしたから。
でも考えたらここはもう私が知ってる世界じゃない。それに確かにこの目玉たちはメカメカしいです。鉄みたいな? 生物……というか機械みたいな感じ。だからこそ、作られてるという可能性があると……そしてそれならこの多さも納得だし、作られだばかりだから、まだキレイなまま……つまりは新品ということですね。
全て納得できました。なら、その工場を停止させる事ができたら、この戦いも終われそうですね。