uenoutaの日記

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第十三話Part3

 それはフラグだったのか、野々野足軽が安心した時に危険な信号が足軽の頭には響いた。そういう仕込みを足軽はしてる。なにせ……だ。なにせ色んな作品を読んできた足軽だ。
 自身の事をオタクだと思ってる足軽は先人たちが失敗をしてきた歴史をちゃんと記憶してる。自分ならそうはならないっておもってる。愚者は経験に学び、賢人は歴史に学ぶというアレである。まあラノベやSFや冒険活劇とかは歴史ではなく創作である。そんなのは足軽だってわかってる。けど、それを読み込んできたことこそ、足軽は歴史と思ってる。そう、足軽の歴史である。人はそれを経験と呼ぶものだとは気づいてない。けどそんな先人の偉大なる妄想があったからこそ、ちゃんと油断せずに足軽は対策が出来てた。
 
 なにが起きたのか……それは単純だった。人の情報は視界がかなりの部分を占める。それは前も言っただろう。そしてその視界でもすべてを鮮明に見てるわけじゃない。はっきり見えてる部分は自分が意識してるところだけだ。周囲とかはぼやけてしまってるだろう。それに……だ。それに実際は記憶されてるのも中心部分とかしかない筈である。
 つまりは意識してない部分は見えてても見えていない。そういうことになる。それに衝撃がよりある所に視線とは、いや人の脳とは意識を持っていかれるものだ。そして足軽達、幾代や小頭はより顕著に前しか見ようとしてなかった。だって周囲には怖い……というか不気味なこけしの様な靄がある。奴らの頭の丸い部分には変に光る二つの目のような部分もあったから、なるべく目を合わさないように二人は前しか見てない。そんな風になったらもちろんの所足元なんてのはおろそかになる。だから二人はヌッと地面から出てきてた手に気づくことはなかった。黒い腕が地面から生えるように出てる。
 そしてそれは小頭の細い足首を狙ってた。けど……
 
(させるか)
 
 足元、しかも二人は全く意識してない場所。確かに普通ならあの腕に掴まれて転んでしまってただろう。そして――
 
「いたた……なに――ひっ!? いやあああああああ! 手形……手形があああああ!!」
 
 ――とかなってただろう。ホラー映画とかでよく見た光景だ。けどそんな事はさせない足軽である。そんなお約束、許さない。生えてきてた腕、そして小頭を狙ってたその腕を足軽は一瞬で弾け飛ばした。なんの音も空気の乱れさえもさせない一瞬の力の行使。それによって地面から生えてた腕は消えた。
 
(なんの手ごたえもなかったな。あれでこけさせることが出来たのか?)
 
 ちょっと不思議に思う足軽だ。だって幽霊とは実態がない存在だ。少なくとも普段はそうだろう。だから普通は見えないし、こっちに干渉もできない。けど古今東西……というか、世界中にあるように心霊現象というのは起きてる。つまりは死者も条件を満たせば現世に干渉が出来る――ということだろう。そして今のは明らかに干渉しようとしてた。
 その筈だ。そしてこっちに干渉できるという事は、こっちも干渉できておかしくない。だからはじけ飛ばせたんだろう? いや、さっきのは足軽は力によってかき消したのだ。力だって物理的なものではない。だって足軽のサイコネスな力は今や車とかも余裕でぺちゃんこに出来るが、あれはどういう力の働きなのか? というのは足軽事態よくわかってない。
 今回悪霊にも効く……というのがわかったという事だ。それにもっと怨念めいた力なら、それこそ力を通してサイコメトリーもできてもおかしくはないとか思う野々野足軽。けどそれもなかったわけで……
 
(まあ今はここから脱出する事を考えた方が……」
「きゃあああああああああ!?」
「いやああああああああああ!」
 
 前を走ってた二人の脚が止まる。なぜなら、前方一面にまるで草原に広がる花畑のように黒い手が揺らめいてたからだ。