はっきり言ってこの数ミリの狭間は完成度が嵩すぎる。下手に閉じるとかできない。あまりにも干渉をしすぎると、逆にこの安定してる時空間の狭間が不安定になる可能性がある。
そうなるとどうなるのか? すぐにメタリファーが対応してくれたらいいけど、ここに来てから一度もあいつは姿を見せてない。もしかしたら私達の行動を何処かから観ててほくそ笑んでるのかもしれないが、メタリファーがなにか対応してくれる――というのは希望的観測でしかないんだよね。
流石にこれだけの場所を放って崩壊させないだろう……と思うんだけど……それって……
「私の感覚なんだよね」
つまりはそういうことだ。それって私の人間によってる考え方だ。前提としてメタリファーは私達とは全く違う存在なんだ。つまりはその思考だって全く違う。私達が当然とか思ってる事がきっとあいつには通用しないだろう。
だからそれを宛にするのはよくない。下手にこの安定しきってる時空間の狭間をつつくと、不安定になって、全てをその空間に吸い込む掃除機へと変わってしまうかもしれない。
それか無限に拡大していって、この場所を全て飲み込んで消滅……とかさ、最悪はそうなる可能性はある。だって……
「まさかそんな世界があるとは……ね」
アイが送ってきた様々な船の記録。その中には故郷である世界が空間に消えた記録があった。そこはすごい研究に熱心な人達が多い世界だったそうだ。世界は3つの海が縦に並んでて、上の海に広がる大地が下の海と大地を支配する……そんな世界。
上の方は技術力がすごくて下は奴隷的な身分だったみたいだ。そこで研究されてたのが空間の拡張だった。その研究を盗み出した下の人達が拙い知識でそれを発動させてしまったことで起こった事故で、その世界は空間の狭間に消えることになった。
上の海の奴らが船を作って世界を脱出。その船がたどり着いたのが、何の因果がこの場所だったというわけだ。
でもなかなかに空間の制御……そしてその研究で有意義なデータが沢山あった。
けど……
「この人たち失敗してるんだよね」
これをそのままやると私も二の舞いになる可能性がある。なんかそのフラグが私には見える。