またなんかよくわかんない言葉が出て来た。死数次元って何? きっとこのとんでもなく進んでる文明で幾人か出て来た天才が発見した何かなんだろうって思う。
『わかりますか。これが何か』
なにか一番黒づくめの連中と話してたその人が彼にそう語りかける。横に並んだ彼もその死数次元確定装置をみつめてる。
『わからない、わけがない。これは彼女が……あいつが残したものだ』
交友関係の広くない彼がいう彼女。それにはすぐにピンときました。つまりはこれは彼女……知的美人さんの忘れ形見ということでしょう。確かにそれなら納得できるかも。
だって彼の得意分野はどっちかというと、こういう機械的な事ではなく、もっと数学的な……科学的なそっち方面だと思ってる。私が見れる範囲でしかないけど、彼がレンチとか片手に何かを作り出してる姿は見れてない。常に何やらカタカタとやってるのはよく見るが、彼の発明というか、発見はいつだって書面というか? そんなのでしかみたことない。
それに対してあの知的美人さんは色々と形にするタイプだったと思う。
『その通りです。これはあの人の……私の母の忘れ形見です』
『――――――――――は?』
たっぷりの間を取って彼はそんな反応をしてた。いや、わかる。私も……いや私はこの映像を見る中で「へぇー」とかいう感じだったけど後で私も「ん? 母?」とかおもったもん。
自身でも気づいてない恋をしてた彼なら、そんな反応にもなるだろう。
『母? だと? いや、そうか。あいつはかなりの功績をあげてた。発明の母だからな』
人はこれを現実逃避……と呼ぶ。どうやら彼は認めたくないらしい。まあそれはそうだよね。だって……ずっと想いあってきたと思ってたのに……なんと相手には既に伴侶がいて……そして今、その伴侶との間にできた子が目の前にいるのだ。
それは現実逃避もしたくなるというものだ。流石にちょっとだけ同情してしまう。
『違います。私は正真正銘、あの人の子供ですよ博士』
はっきりと、そして断言する彼。でも確かにそういわれてその青年の顔を見てみると、名残がある……ようなきがしないでもない。