「え? 何言ってるの? 私が生んだとかないからね……」
なんかおばあちゃんに引かれてしまった野々野足軽である。だっておばあちゃんが『家族』とかいうから……流石に野々野足軽だってこの凶悪でデカいサルをおばあちゃんが出産した……なんてのは思ってない。でもおばあちゃんが『力』を覚醒させてるのは確定してる。だからこそ、もしかしたらおばあちゃんの力で作り出したとか……そんなことがあるのかな? とね。
「でも家族って……それじゃあその意味って……」
「そうね。これだけじゃわからないわよね」
するとおばあちゃんは足軽を見てそして周囲をキョロキョロとしだした。でも手近なものがなかったんだろう。だから「足軽みてて」――といっておばあちゃんは目を閉じる。するとおばあちゃんの体が光りだして、さらに小さくなった。十歳前後まで小さくなって、そして次にはいつも見慣れてる姿になって、そしてさっきまで妙齢の姿にもどる。まるでパフォーマンスのように……
「これが私の力。私は年齢を操れるの」
「すごい……ね」
さっきも見たけど、改めてこうやってまじまじと見ると、その異質さがよくわかる。だって年齢だ。足軽はちょっと気になる事をおばあちゃんに聞いてみる。
「それってさ、幼くなってるときって、おばあちゃんの寿命はどうなってるの?」
それである。今の時代、人生百年時代とか言われてる。でもそれってのは人間の体の限界値がそれくらいともいえる。だって臓器も節々も、永遠に動き続けることはできない。だからこそ……人は……生物は『寿命』を迎える。言い換えれば、寿命とは体の限界なのだ。もしももっと医療技術が進み、全ての重要な臓器とかが安易に生産されてストックされるようになったら、悪くなったそれらを取り換えいく……とかいう医療が起こるかもしれない。
そうなると人の寿命はさらに延びるだろう。永遠は無理かもしれないが、二百年とか行くかもしれない。でもおばあちゃんの若返りってある意味で体を一新してるとしたら? 若返ってるという事は、その体も勿論若くなってるだろう。
なら……だ。ならおばあちゃんは若返った状態を維持することが出来るのなら、それこそ永遠を生きる――ってことが出来るかもしれない。人類の夢……物語の悪役とかがそれをなす理由……永遠の命……もしかしたらおばあちゃんはそれを得てしまってるかもしれない。