「ここって家じゃない?」
その小頭の言葉に鬼男がうなづいた。ただ白い濃霧が出てるだけ……と思ってた小頭だが、どうやらそんな甘い状況じゃないぞ……とおもいだす。
「まずいよ。だってお母さんもお父さんもおじいちゃんもただの一般人なんだよ。もしも……このまま会えなくなったら……」
そんな風につぶやいてた小頭。鬼男からは小頭の顔はみえない。小頭は鬼男の胸に額を当ててた。さっきまでは離れようとしたくせに、今は押し付けているくらいだ。すると鬼男は気づく。小頭の体が震えてることに。きっとこのまま家族と会えなくなったことを想像してみたのかもしれない。小頭はまだ女子中学生だ。来年には高校生になってるだろうが、まだまだ子供なのはかわりない。なのに家族と離れ離れになるかもしれない。そんな恐怖がリアルに迫ってきてると感じてるんだろう。
もしも以前の……それこそ、超能力が台頭する前の世界なら、こんなことも起こらずにいつもの田舎への帰省になってただろう。もしも何かが起こってたとしても、超能力がない世界なら、そこまで深刻に考える事はなかった。でも……小頭はこれまでで色々な事を体験してきた。友達に超能力が目覚めたり、悪魔と戦ってさながらゾンビ映画の世界に入ったような体験だってした。そして今は鬼の腕の中。もう何が起きても他人事でなんていられないと小頭は思い知ってた。
だからこそ……怖い。本当にもう家族と会えなくなるんじゃないか? と考えてしまう。兄がいなくなって……次には家族みんな? そんなのは流石に小頭には耐えられそうもない。震える小頭の背中をなるべく優しく鬼男は撫でる。最初はちょっとビクッとした反応をした小頭だったが、拒否する事はなかった。むしろ……「ひっく……うぐ……」と鳴き声も聞こえてきてた。
鬼男は小頭は抱えながら周囲を見てた。とりあえず周囲に野々野家の面々はもういないとおもっていいだろうと考える。すると、今度はこれをやった相手が問題だ。それに一体何が目的なのか。小頭にはとりあえず鬼男がいるから大丈夫だろうという自信がある。けど、こんな涙を見せられたら、早くどうにかしてやりたい……とそんな風に思ってもおかしくないだろう。それに……だ。鬼男はさっきからずっと感じてた。それは視線? この濃霧の中で刺さる視線。それをやる存在がいるとなったら、それはきっと黒幕だろう。
でも自分から行くことはできない。なにせ小頭がいる。鬼男の第一優先は小頭であることは揺るがない。だから敵の出方を待ってるんだ。