廊下の一角の蛍光灯がチカチカとしてて、授業中の廊下を怪しくしてた。お昼も過ぎると雨の勢いも強まりつつあって、窓に当たる雨さえもバタバタ不協和音を奏でてる。結局のところ、これだけの雨足では昼休みもいつもみたいに思いっきり体を動かすのはできなかった。体育館はもちろんあるが、グラウンドほどに広くないし、上級生とかがいて下級生がそこに割って入る……なんてのはできなかったのだ。
いつもなら体を思いっきり動かして疲れて眠くなる午後の授業。けど今日は、体を動かすことができなかったから、腹に給食がたまって、満腹感が彼の意識をうつろうつろとさせてた。今の授業はなかなかに先生が厳しい人だから、彼は頑張って起きてようとしてる。
でも彼の頭はさっきから縦方向にゆらゆらとしてる。そんな中気づいた。
(あれ? あいつは……)
それは幾代だ。幾代の席が空席になってる。サボり……は考えれらない。だって誰よりも授業をまじめに受けてるのは誰なのかというと幾代だからだ。まだ自分なら……と彼は思う。自分ならサボってるんだろうと思える。
でも……幾代がサボりなんて考えられない。そうなると……一体どうしたというのか? 最近顔色が悪かった。それを踏まえると彼女は早退したのではないのか? と思った。ちょっとだけ……ちょっとだけ心配な気持ちが湧いて出てくる。
(いやいや!)
頭を振って、そんな心配げな気持ちを振りはらう。だって彼は幾代にもう関わらないで……とまで言われたのだ。そんな奴を心配? ないないっていう気持ちだろう。
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
そんなチャイムの音で放課後が訪れた。激しい雨のせいでどうやら今日は部活もやらずに学校から帰らせるらしい。下駄箱がごった返してた。そして彼は気づく。
「やべ……傘……」
なかった。でも小学校には予備の傘が……まさかの全校生徒が一斉に帰るせいで予備の傘は彼が求めたときにはもうなかった。放課後になると、既にバケツをひっくり返したような雨になってた。外にでた瞬間にびしょ濡れになるのは確定だろう。ゴボゴボ――と排水口も溢れかえってた。
でも……
「それが何だってんだ!」
濡れるのなら、大きく濡れるのも軽く濡れるのも変わらない。そんな子供らしい精神で彼は学校を飛び出した。