界域にいくつのも巨大な岩の蛇の体が走る。かなりの広さがある……というかどこまであるかわからないような界域だ。だからなんの制限もなく岩の蛇はその体を縦横無尽に走らせてる。沢山の岩の蛇はどうやら野々野足軽を絶対に逃す気はないらしい。その数を利用して、そしてその巨大さを利用してる。
つまりは野々野足軽を囲むように動いてるのだ。それは大きな籠のようで、牢屋のごとく。時々蛇の体がぶつかってガチンガチンと凶悪な音を鳴らしてた。このまま範囲を狭めていき、野々野足軽をすりつぶすことだって奴らにはできそうだ。まあ大人しく野々野足軽もそれに甘んじる気はない。もちろん抵抗させてもらうが、岩の蛇はそんな地味なやり方は好んでないとみえる。
あくまでも野々野足軽を囲んだのは野々野足軽を逃がさないため。それだけのようだ。実際この岩の蛇はどれだけの長さがあるか? なんてのは詳しくわからない。ただとんでもなく巨大だという事だけがわかってる。だから別に野々野足軽を囲んだとしたとも、その首には余裕がある。てか、この首の果てはみえない。
(どうして俺はこいつが首だと思ったんだっけ?)
ふとそんな風に思ってしまった野々野足軽である。だってこいつらは長い首だけを界門からだしてた。首の根元があるはずの胴体を考えてみたら野々野足軽はみてない。でも、野々野足軽はこの岩の蛇を首それぞれが一体ではなく、まとまった一体……だと考えてる。いや感じたのかもしれない。
界門からただこいつの首だけ……頭だけが伸びてるわけで、まとまった体は見てないんだから、普通ならその段階ではこの岩の蛇まるで八岐大蛇的な個体かどうかなんてのは本当ならわからないはずだ。けど……
「ああ、そっか……そうだった」
野々野足軽は自分一人でなっとくした。そして、この大量の岩の蛇の討伐方法が思い浮かんだ。野々野足軽がこいつを同一の個体だと感じた理由。それを今一度見つめなおすと、活路が見えたのだ。そしてそれは、この界域の力があるから出来る――と思わせる事だ。
野々野足軽はこの時、この瞬間、間違いなくこの大量の岩の蛇たちは一個の個体であって、個別に相手にする必要はないと確信した。なにせどの個体からも感じる力は一つだ。それが答え……そしてそれならこの大量の首を持つ岩の蛇の核とも呼べる部分はきっと一つ。