リファーちゃんとミレナパウスさんは様々な事をためしてみた。一番簡単だったのはリファーちゃんによっての高高度からの落下だ。どんな相手も空を飛ぶ手段がないのなら、それが確実だと思われる。だって高い所から落とすというのは単純だけど、一番分かりやすい死の手招きではないだろうか? だって無様にジタバタしたところで、位置エネルギーと運動エネルギーの重ね合わせによって、大抵の生物の命は費えるだろう。とりあえずリファーちゃんは森とか海とか泉とかを避けて大地がむき出してる場所に相手を飛ばしてしまえば、後は数秒もしたら派手な音とともに、地面に汚いシミが出来る……はずだった。
大抵の存在ならそれで終わるだろう。リファーちゃんはただ空間の裂け目を敵が突進してくる進路上においておけばいい。リファーちゃんの空間移動のための空間の亀裂は見た目ではわからない。だから突進してくる敵がそれに気づくことはほとんどないだろう。気づいたら空の上……それはもう絶望しかないだろう。
けど……あの甲羅を持ったクマはそれを生き残った。完全に甲羅の中に入って、高高度からの落下の衝撃に耐え抜いたのだ。実際外側が頑丈でも、その衝撃で内臓とかやられるのでは? とか思わなくもないんだが、でも事実としてクマは生き残ったのだ。他にも甲羅部分を避けて攻撃をしたりもしたし、大質量の物体を開き直ってぶつけてみる……という事もやった。けどどれをやってもこのクマは生き残ってる。とんでもない生命力と言わざるえない。
ただ防御力が高い……では説明できないかもしれない。だって四肢を切り落としたとしても、すぐに甲羅の中から新しい四肢が生えてきてもいた。もしかしてだけど……
「いや、そんなことないよね」
私は一人そんな風にいった。頑張ってリファーちゃんとミレナパウスさんが戦ってるのだ。もしも今、思いついた私の仮説があたってたとしたら……それは二人のやる気を著しく削いでしまう事かもしれない。まああり得ないと思ってるよ。流石にそれは……ないでしょう。けど……もしかしたらありえるのかも? だって、実際死んでないとおかしい攻撃を受けてたりする。高高度からの落下の後……クマは全身血まみれだった。中から出てきた時、血まみれだったのだ。
それもかなりの出血量だった。甲羅の中にもとんでもない衝撃を受けたと見て取れた。けど熊は元気だった。血まみれだったけど元気に動き回ってたから、「ダメだったか」と思った。でも……もしかしたらそうじゃなかったのかもしれない。もしも、ちゃんと効いてるとしたら?
「この大地の存在は皆、死なないとかないよね?」
私はその可能性をちょっとだけ考えてる。ないと思ってるけど……いくつかの条件下でならそれは……出来るかもしれないから。