「ンモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
ビリビリとあの大きな狸を中心に低く大きな声が響いた。小頭達は耳を抑えて、その声に対して耐えてた。頭が揺さぶられるような衝撃が皆を襲ってる。
「なんなの……これ……」
耳を抑えつつ、片膝をついた野々野小頭がそんな風につぶやく。かすむ視界に映るのはよく見る狸の置物。けどその大きさはビルにも匹敵しそうなほどだ。そしてその狸の置物から声が発せられてる。
特殊な声なのか、それともただ単にあの大きさだからこれだけ凶悪な音になって小頭達を襲ってるのか……それはよくわからない。けどただ一つ言えるのはこのままじゃまずい……と言うことだ。
「なんじゃこの音は……」
「頭が割れそうだよ」
おじいちゃんとお父さんもふらついてる。お母さんもそうだ。お母さんが一番弱ってるみたい。このままじゃ……
「うるさいわね。ちょっとどうにかしなさいよ。煩わしいわ」
え? である。なんかめっちゃ普通にそんな事を言ってるのは鬼女だった。視線を向けると、彼女はこの音の中でもさっきまでと変わらないペースで弁当を食べてた。
(食べてる場合か!?)
と、言いたいが言えない。声を出す事が出来ないくらいにはこの音がやばいんだ。でもそんな中でも鬼女は普通に食べてる。どういうこと? と小頭は困惑しかない。そしてその言葉……その鬼女の言葉に反応したのは鬼男だ。彼は何を言わずに前に出た。
そして一度こちらをちらりと見ると、ふいに一回屈伸を挟んで飛び上がった。でも攻撃しに行ったのとは違うみたいだった。だって彼は直上に飛びあがってる。
そして豆粒くらいに小さくなったと思ったら、花火が近くでなったような音が響き渡った。一瞬の更なる音に本当にみんながクラッと意識を手放しかける。けど、なんとか踏ん張ると、門の近くに現れてた巨大な狸の置物が背後に倒れようとしてる。
それになんか狸の目がまん丸かったのにバッテンになってたような? そんな事を思ってると、鬼男がおりてきた。かなりの高さだったけど、何メートルも飛び跳ねて移動できる程の筋力を持ってる鬼男だ。
別段何の問題もなく着地した。
「音は止まった」
「え? あっ、ほんとだ」
気づかなかった小頭達。だっていまだ耳がキーンとしてるのだ。けど確かに既にさっきまでの凶悪な音は止まってる。きっと狸の置物が倒れようとしてるから、叫んでる場合じゃないんだろう。
するとボフン……と白い煙が狸の置物を覆い隠す。そしてそのまま巨大な狸の置物は消えてしまった。