「へいパース!」
私は手を上げてそうアピールする。今日は練習試合だ。他校にまで遠征してそこの女バスのチームと練習試合をしてる。練習試合だからって手抜きはできない。だってこれは試金石だ。
コーチは冬の大会のレギュラーを見定めてるんだ。だからアピールをしないと。学年が一番下の私達にはそんなにアピールの場があるわけじゃない。普段から練習でも試合形式でやることもあるけど、相手が味方……普段は……っていうのが私的には遠慮が出るっていうか?
やっぱり先輩ににらまれたりすると、うまくディフェンスできなくなったりする。だって普段は先輩を敬わないといけないんだよ? それなのに試合中だけなんでもありってのは初めて部活をする私としては、そうそう切り替えができない問題だった。
でも、ここは他校だ。そして相手は皆、知らない人。いや、先輩たちは知り合いもいるようだ。多分この学校とはそれなりに練習試合をしてると思われる。コーチ同士も知り合いみたいだしね。
きっとこの中には2年の先輩もいるんだろう。でも、私的には知り合いでもない、初めて試合に出る対戦相手……となれば当然敵である。遠慮はいらない。ワンバウンドしたボールがこっちにむかってくる。
私達のチームも基本2年生の中に少しずつ一年生を混ぜて、それで相性とかチームワークとか、どれだけやれるのか? をみてると思われる。だからアピールして、せめてワンゴール……それを私は目標にしてた。
でもボールは私の所まで来なかった。なぜなら私の手に入る前に敵チームの人がボールを確保したからだ。本当ならこれで攻守が交代する。こんな事はバスケではよくある事だろう。
だから私は既にうごいてた。いや、私はその瞬間から既に動いてた。どういう事かというと……私もよくわかってないが、体が動いてたんだ。私の目はきっともうみえてた――んだと思う。
だから取られるとわかった瞬間に体が動いてて、ボールを確保されてそして向こうのチームが攻撃に切りかわり、こっちのチームが防御に意識を向けた。その時にも私は……私だけは攻撃に意識をむけてた。だから取られたボールを――トンッ――としたから押し出すようにして取った人の頭上を越えさせた。そしてそのボールをそのままドリブル。
ダンッ!! ――というボールが体育館のフローリングを激しく打ち付ける音で初めて皆さん状況を察した。でもその時には私はすでにゴールポスト目前。なんとかしようとしてくる相手方の選手を一回転してかわして、キュキュ――とシューズが小気味よい音を奏でる。私の体が宙に浮く。
後ろから相手側の大きな選手が手を伸ばしてきた。けどボールの位置を逆の手にしてそしてゴールポストの裏から投げる。そして……シュポッ――という音と共に私の投げたボールはゴールに吸い込まれた。
そしてそれから私の怒涛の攻撃は始まったのだ。