uenoutaの日記

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ある日、超能力に目覚めた件 第三章 第六話part2

「はい」
「あ、ありがとう」
 
 私たちはカラオケにいた。あのまま教室にいてもよかったけど、学校では誰に見られるかわかんない。だから個室が利用できるカラオケにきてた。二人でカラオケ……そんな状況に緊張してる。もらった飲み物はコーラだ。それを喉に通すと、刺激がちょっと緊張を和らげてくれる。
 
「落ち着いた?」
 
 野々野君も同じように飲み物をのんでこっちにそう問いかけてくる。私は顔が赤くなって、うつむき加減にこういうよ。
 
「えっと……ご迷惑を……」
「そうじゃない。いいんだよ。無理しなくて。俺は味方だから」
 
 ようやく止まったと思ってた涙。それが再びあふれてきそうだった。鼻の奥がツーンとする。このままじゃまた泣きそうだった。それはダメだ。だってあの時も……ついさっきも私は彼を、野々野君を困らせた。教室でのあの一言――
 
「大丈夫? スマホも心配だけど、最近の田上さんが心配だよ」
 
 ――その言葉を受けて私の中の何かが決壊したんだ。勝手にあふれてくる涙を止めることが私はできなかった。こんなの情緒不安定だ。絶対に面倒な女だって思われたと思った。だっていきなり泣き出すんたよ? 
 そんな女は情緒が不安定なやばい女だろう。でも彼は優しかった。引いたりしなかった。私の事を心配してくれた。だからこうやって一緒にカラオケまできた。さすがにこんな状態じゃ、部活は今日はやめたほうがいいと言ってくれたのも彼だ。
 
 私は一年生でレギュラー入りして、そしてこの前の練習試合でも最多得点をたたき出した。エース! なんて呼ばれてる。そんな私が部活を休むなんてできないって……そう思ってた。一人じゃ、休むなんて……いやそもそもが連絡をしてないからこれはさぼりだ。
 そんな大胆なことを私がするなんて……
 
「なにか歌う?」
「野々野君の歌が聞きたいな?」
「えぇ、俺?」
 
 ちょっと困ったように野々野君がいう。実際私のイメージでも野々野君が歌をノリノリで歌うかというと? そうじゃない。そもそもあんまりこういうところに来そうにない。私たちのような女子高生ならそれこそ頻繁に来たりするけど……女子高生ともなると、持ち歌の一つや二つはないと、ダメなんだ。SNSで話題になってる歌、バズってる歌……それを知ってないと話題についていけなくなるから。
 でも男子はどうなんだろうか? 男子とはそんなにかかわりがない私はわからない。
 
「えーとそれじゃあ」
 
 そう言って乗り気ではないが、恥ずかしがりながらも野々野君は歌ってくれた。それから私も歌った。何曲か歌いあった後、心がちょっと軽くなった気がした。私はテーブルにあるポテトをつまむ。次は彼の番。女子のカラオケなら何曲も何曲も次々にいれるから途切れるってことがない。
 でも彼とのカラオケは合間合間に途切れる時間がある。それがいやかというと、そんなことはない。悩んでる野々野君はかわいい。少し心も立ち直ってきた。ドキドキしてるが、彼は味方……だと言ってくれた。だから私は言おうと思った。
 
「あのね……私の体。最近おかしいんだ」
 
 私はそう切り出した。