「うわぁ……すごいよ。あれ見て!」
「ちょ、ちょっとおとなしく。危ないですから」
カエル泳ぎ? いや、平泳ぎっていうんだっけ? そんな風な泳ぎ方をしてる亀人間の人。それがテンションあがって甲羅の上で暴れてるリファーちゃんに向かって注意を促してる。でもリファーちゃんはその声が聞こえてないようだ。
おとなしく乙女座り? 足をきれいに並べて膝小僧を合わせてまさに乙女……という風に座ってるミレナパウスさんと違ってリファーちゃんは完全に女の子ではなく、男の子みたいなさ……そんな風に思える。そして当然だけど、おとなしく座ってるミレナパウスさんと暴れてるリファーちゃんでは泳いでるカメの大変さが違うというね。
そのせいで徐々にリファーちゃんが乗ってるカメのスピードは落ちてて、ミレナパウスさんの方のカメとの距離が開いてた。まあけど二人は別に気にしてない。それはそうだろう。だってあれはカメだけど、タクシーに乗ってるようなものである。目的地には自動的にたどりつく……そう思ってるんだから別に……ね。育ちの違いが出てるが、リファーちゃんだってさすがに乗ってるカメをどうにかする……なんてことはないだろうから、ちゃんとあの街までたどり着けるだろう。
うん……私もそう思ってた。けどそこで何かにリファーちゃんは気付いた。
「あれはなぁに?」
「はいはい、次はなんですか?」
なんかちょっと疲れてる声を出してる亀人間がそう応える。それに対してリファーちゃんは指をさして、
「あれだよあれ! おっきいお魚がきてるー」
――といった。すると途端に「え?」となんかまじめな声を出す亀人間。カメ人間だからだろう。その首を目いっぱい甲羅から伸ばして、リファーちゃんが指差してる方を確認した。すると一瞬で血の気が引くというか? そんな顔になったように思える。いや、元からカメ人間さんは肌色がね……緑というか? 青よりだから血の気が引いてもわかりづらいが、たぶん間違ってないと思う。
「アジュージャーが出たぞおおおおおお!!」
いきなりの大きな声。今更だが、なぜに水の中でこんな叫んだり会話ができてたり、そもそもミレナパウスさんもリファーちゃんも呼吸自体ができてるのはなぜか? とかあると思う。それはそもそもがなんか事前にどうやらなにか札? というか手のひらサイズのアクセサリーを受け取ってるからみたい。
緊急的に水中に適応させるためのアイテム……があるらしい。それを受け取ったミレナパウスさんとリファーちゃんは水中でも普通に過ごせるみたい。
そしてそんなリファーちゃんは大きな魚に「キャッキャッ」してて嬉しそう。でも……亀人間たちは違う。まさに緊急事態。エマージェンシーという風な感じで叫んでた。周囲にこの事態を知らせてるようだ。そして全速力で街の方にむかっていく。