リファーちゃんのテンションとは裏腹に、周囲の人々は何やらとても顔色が悪く見える。アジュージャーという怪物、それを一撃で沈めた(いや浮かんでいったけど、そういうことじゃなく)−−事実、リファーちゃんはあの巨大な魚を一撃で倒したのだ。
あんな化け物を一撃でたおしたんたよ? 普通なら英雄よろしく、皆から感謝されるのが普通ではないだろうか? ても……なんかそんな雰囲気ではない。リファーちゃんは気づいてないけど。するといち早く動いたのは、後からきた軍? の人? というか魚の体に手足がついたような存在だ。その人がいきおいよくリファーちゃんに迫ってきてこういった。
「こらあああああああああああああ!!」
そんな風にどなってきたのだ。そしてそのまま勢いのままにさらに言葉をつづける。
「なんてことをしてくれたんだ!! アジュージャーに手を出すなんて……そんなことをしたら……」
その時だった。この泉全体が震えるような、そんな音が水を揺らした。そしてさらに目の前の魚はいう。
「奴が……くる」
奴? どうやらさらにやばい奴がいるようだ。それを本当の意味で彼ら……この水中の民たちは恐れてるってことなんだろう。でもリファーちゃんはこういうよ。
「大丈夫! 私がなんとかしてあげるよ!」
「お前のような小娘にあれをどうにかできるかぁぁぁぁぁぁ!!」
そんなふう怒鳴られてしまったが、リファーちゃんは自分ならばどうにかできる……と思ってた。そしてそんなことを思ってると、なんだか周囲に渦ができ始めた。一つ二つ……それがどうやらこの場所に住んでてお泳ぎが達者なはずの魚人間たちの動きを封じ込める。たしかにリファーちゃんでも今のこの水中が荒れてるのはわかる。
でもこのくらいで? という気持ちもあるよ。そもそもかなり荒れてても泳げるのが魚では? そういう印象がリファーちゃんにはあった。だって水中のスペシャリスト−−ではないのか? ってね。まあでもいいかってことで、この渦のなか、いつの間にか外に出てた軍の人もそして先に行ってたはずの亀の人とミレナパウスさんもちかくにきてた。
周囲にできた渦がどうやら街へともどるルートを潰したみたいだ。だからみんなこの場所に集まるしかなかった。でもこれって……
「わたしたちを一箇所にあつめたみたいですね」
そういうミレナパウスさん。でもきっとそうだろう。これからやってくるやつは多少の知性はあるようだった。そして黒い影が奥の方からせまるのが見える。ごの泉とても透明度が高い。地上からなら青く染まってて、中に入ると結構とおくまで見渡せたはずだ。
でも……奥からやってくるやつはまるで黒を撒き散らしてるとでもいうのか? その姿をはっきりとは確認することはできなかった。