uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力が目覚めた件 407P

(山田先輩は……)
 
 やっぱりヒーローと言えばイケメンに限る――と思ってる野々野足軽である。だからこそその人を探してるわけだけど、一番簡単なのはどう考えても直接野々野足軽が行くこと……である。けど流石にそれはやりたくないと思ってるみたいだ。
 
(これ以上俺が出るのは悪魔に気づかれるリスクがあるし……)
 
 別に野々野足軽は平賀式部に義理立てて朝倉先輩の救出に赴かないわけじゃない……と心の中で言い訳してる。どうやら野々野足軽は悪魔を警戒してるみたいだ。その気になれば悪魔を消滅させるのなんて簡単なのに、一体何を警戒してるのか? と思うかもしれないが、つまりは野々野足軽は今もこうやって悪魔を妨害してるのが自分自身である――という事への導線を残したくないという事のようだ。
 考えすぎかもしれないが、前に妨害した時も野々野足軽はそこにいた。あの時は悪魔はただ調子悪かったみたいな感じで終わったわけだが、同じことがまた起こった今、まだ悪魔は「今日は調子悪いかもしれない」と思ってる段階なのに、もしもここで野々野足軽が姿を見せたらどうなる?
 
 いや、悪魔はそんなに頭を使うような存在ではないかもしれない。けど「あの時も確か……」とか思う可能性はある。そしてさらにまた別の機会で野々野足軽が姿を見せたら、きっと確信に変わる。薄い導線でも、何度も同じような状況で同じ奴の姿がある……となったら、どんな馬鹿でも疑うだろう。そういう足跡を野々野足軽は残したくない……と思ってる。
 
(ヒーロー体質で実はすぐ近くにいてくれる……とかだとありがたかったんだけど……)
 
 見つけた山田先輩は全然違うところにいた。どうやら友達と遊んでるみたいだ。流石はイケメンである。まあ今一緒にいるのは男だが。これが外ならまだどうにかして誘導する……とか野々野足軽なら力でどうにかできたかもしれない。でも山田先輩は友達と一緒にカラオケにいる。流石にここで山田先輩だけ風で無理やり移動させるとかできるわけない。
 
(なんでもできると思ってたのに……)
 
 野々野足軽は早い絶望を味わってた。力も高まって、ドラゴンも倒した。新たな風の力は応用で風という概念を超えてくれることに感動してたんだ。自分への全能感……けど今、それが消えたといっていい。
 
(やっぱり俺はまだまだだな)
 
 そんな風におもう野々野足軽。本当に野々野足軽が全能なら、今から山田先輩をあの場所に間に合わせるくらいできないとおかしい。けど……さすがにそんな手は思い浮かばなかった。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1046

 ネナンちゃんが街を守ってくれている。でもこの扉から出てこようとしてる化け物の実力は未知数だ。あれでも安心なんてできない。他に気を取られる必要がない今、俺達はラッシュをかけないといけない。よしんば、倒す!!
 
「ヤツを倒しましょうアイ!」
「呼び捨て……まあいいでしょう。それには同意します」
 
 自分の呼び捨てをスルーしてくれたアイ嬢。テンションがあがってつい……だったが、これからは「アイ」と呼び捨てでもいいのだろうか? アイ嬢はその言葉とおりに、空間からガシャガシャと何かを取り出していってた。そしてその体にそれが装着されていってる。脚、胴体、腕……それぞれに外骨格と呼べるような、機械の腕や足がくっついてる。それによって彼女の慎重が3メートルくらいになった。それに肩甲骨くらいから二本の大きな砲台があるし、腕や脚にもはいかにもな箱がみえる。かなり火力を期待できそうだ。
 
 自分はあいも変わらず剣しかない。相棒の聖剣。その輝きを強める。そしてその姿を変化させる。けどまったく別の物にしようとしてるわけじゃない。ただ大きく……あの腕を切れるほどの大きさへとかえる。
 
「私が援護します。貴方はただ切ることだけに集中してください」
「頼む!!」
 
 そんなやり取りをしてすぐに飛び出した。そして沢山の髪がむかってくる。けどそれらはすべて、自分に届く前に撃ち落とされていく。
 
(流石だ……これなら!!)
 
 アイ嬢はそのすべての武装を展開してるみたいだ。脚腕、そして両肩の砲台……それらが弾幕と言えるほどの弾をばらまいてる。それにその一つ一つに大きなエネルギーがこめられてるらしい。普通の玉……それこそ石とかを飛ばすなんてしてもなんの意味もない。だからこそ、どれだけ力を込めるか……が大事だ。石だって力をまとわせれば、威力も耐久度も全然変わってくる。
 それだけエネルギーというのは大事だ。それに加えて、アイ嬢は打つ出すエネルギーも工夫してるみたいだ。それが何なのか今の自分にはわからないが、ただ吹き飛ばすだけじゃない。あの弾にあたったら、本体にまで影響が及んでる。つまりは鈍くなっているみたいだ。
 弱体化……それは確実におこってるだろう。
 
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 
 自分は聖剣を振りかぶる。数多の髪を切り裂く……そして腕に食い込む聖剣。僅かな抵抗を感じる。けど……自身の中のノア、そして聖剣自身と完璧なシンクロをしたその瞬間……聖剣は抵抗を振り切って大きな腕を切り裂いた。
 
 ズズズズズーン
 
 そんな風に斬られた腕が砂へとおちる。その大きさによって、世界が揺れたかのうような……そんな振動が響く。

ある日、超能力が目覚めた件 406P

「ふふ……」
「なによ? ちょっとどいてくれる?」
 
 朝倉先輩と悪魔の女性は対面してる。女がいきなり朝倉先輩をどうやら壁際に押し付けたみたいな? 多分そんな感じなんだろう。だからこそいきなりの事でびっくりしてる朝倉先輩な訳だが、とりあえず目の前の女にそんな事をされる覚えもないから、彼女はそのギャルの見た目を利用してすごんでる。
 いつもはもっと高い声を出してるんだろうが、今の朝倉先輩の声は凍えるように冷たい声だった。けど、悪魔の女性にはそんなのは全然きいてない。むしろ悪魔はゾクゾクとしてなんか感じてるように見える。もしもクラスの陰キャが今の朝倉先輩の声をかけられるとそれだけで体が硬直とかしてもおかしくないが、悪魔にはその敵意とかも好物なのかもしれない。
 
「そんな事を言わないでよ。楽しいことをしましょう?」
「あんたみたいなヤバい女とやることなん……て……」
 
 どうやら朝倉先輩はギャルよろしく、視線を外すと負けた気になるのか、悪魔の女性をにらみ続けることをやめなかった。そうなると悪魔的には好都合だ。なにせどうやら悪魔は視線を合わせることで催眠に落としてる。なのでおどおどとして頑なに目を合わせないようにする人物よりも朝倉先輩のように気が強い女性の方が悪魔には都合がよかったのだ。
 
(やばい)
 
 とりあえず野々野足軽は朝倉先輩を力で守って催眠状態に落ちることを防いだ。すると悪魔は当然だけど驚く。
 
「なに?」
「……っつ……なに? なんか眩暈がしたような……」
「ほら、さっさと落ちなさい」
 
 そんな事をいって悪魔は強引な手段をとった。それは朝倉先輩の顎を持って無理矢理顔を固定させてより強く自身の力を使う構えをとったのだ。今のは何かの間違い……と思ったんだろう。なにせこれまではきっとずっと成功してる。初めて野々野足軽が悪魔を認識した時に妨害したが、それだけだったからきっと何かの間違いと思ったんだろう。だから今更失敗するなんて考えられないって悪魔は思ってる。
 でも……
 
(無駄だ)
 
 悪魔の力よりも野々野足軽の力の方が高い。だから悪魔の催眠が朝倉先輩へと届くことはない。
 
「やめっ――てよ!!」
 
 そういって朝倉先輩が悪魔の女性の手を振りほどく。すると流石にその声とかで周囲がざわざわとしだして注目を集めだす。そうなると流石に悪魔は困るみたいだ。けどまだ逃げ出すほどではないのか、周囲も気にはなってるが、どうしたらいいのか……と声をかけあぐねてる感じだ。どっちも美女だから、気後れしてる……ってのもあるかもしれない。
 
「なんで……なんでなんでなんでなんでなんで効かない!」
「聞かない? 見ず知らずのあんたのいう事なんて聞くわけないでしょ!」
 
 朝倉先輩は強めにそういうが、その手先は実は震えてる。いくらギャルみたいな見た目をしてるといっても、彼女はまだ高校生だ。わけわからない大人の女性にいきなり絡まれたら怖くなることは何もおかしなことじゃない。さっさと悪魔の女性が諦めてくれたらいいけど、そうじゃないのなら、彼女を助けるヒーローが必要だ。なので野々野足軽は山田先輩を探し始める。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1045

 自分たちは三人+大多数でこの扉から出てこようとしてる化け物に対処してる。きっとこれは砂獣ではないだろう。だからなんと呼べがいいのかわからない。扉から飛騨腕だけを出してるそれ。けどそれだけで破壊力は抜群だ。覆いかぶさるようにアズバインバカラへとその手を下ろそうとしてる。それに対してアイが銃を打つことで止めに入ってるし、自分も聖剣を使ってなんとか切ろうとしてるが、どうやらかなり頑丈だ。既に自分の力は世界を管理してる鬼に匹敵するくらいにはなってると思ってるが……あの腕をスパッと切れる程には至ってないらしい。
 
 軍や賞金稼ぎの人たちはアズバインバカラの方へと戻ってそこから弓とかで腕を撃退しつつ、砂に腕がついたら、そこへめがけて全軍で突撃して、それを攻撃しまくってる。
 けどそれが効いてるかは正直わかんない。とりあえず今はネナンちゃんも、そしてミレナパウスさんも周囲の人たちにバフを掛けることに専念してる。それにネナンちゃんは植物を成長させていき、そのツタを腕に絡ませることでなんとか拘束しようと頑張ってた。けどそれでもブチブチと音をたてて植物は簡単に引きちぎられてる。けどそれでも……なにもしないよりはましだろうと、ネナンちゃんは何回も挑戦してる。
 
 そうやってる内に、扉から肩の先、頭がでてきた。バカ長い髪に、縦長の頭。目は見えなくて、腕にもある螺旋の走りが顔にもある。けどその口は光ってて、まるでポッカリと穴があいてるかのようにみえる。
 
『お、おおおおおお……おおおおおおおおお』
 
 そんな声が漏れ出てる。そしてその髪が一斉に蠢きだして自分たちに襲いかかってきた。
 
「つっ!」
「うざったい」
 
 自分やアイは大丈夫だ。なんとか出来る。けど……そのたった一撃……その一回の攻撃で地上の人たちは沢山やられた。悲鳴が至る所で聞こえる。死んではないようだ。
 なにせミレナパウスさんが癒やしの魔法を使ってくれてる。それによって傷は回復するだろう。けど……明らかにこの化け物と地上の人たちでは実力に差がありすぎる。自分たちでなんとか……だ。地上の人たちは、こいつの髪の攻撃には蹂躙されるしかない。
 
 なんとか守って上げたいが……自分とアイがなるべく沢山の髪を引き受けることしかできない。けどそれでも……髪は多い。全部がこっちに来るわけじゃない。回復が間に合う間もなく被害は拡大していくことになる。そうなると……そんな想いがよぎる。けどその時、植物が寄り集まってアズバインバカラ……それにジャルバジャルも巻き込んでドーム状になっていった。
 
 ネナンちゃんがどうやら植物で守る体制に移行してくれたらしい。あれもいつまで持つか……だが、あんな小さな子が作ってくれた僅かな時……これを生かさないでどうする!? 

ある日、超能力が目覚めた件 405P

「げっ……」
 
 悪魔を見つけた。天使っ子と悪魔っ子の力を使って、同じ波長の力に反応した場所へと視界を飛ばすと、そこには確かに悪魔をやどした女性がいたんだ。そしてその悪魔は今まさにある女性を……いや女の子を催眠にかけようとしてた。その女の子はなんか見たことあるような……どこかで見たことあるある気がする野々野足軽
 
「あれって……確か山田先輩の取り巻きの……」
 
 野々野足軽の学校で一番人気な男子と言って過言ではない山田先輩。その取り巻き筆頭だった結構気が強くてオシャレに気を使ってメイクだってばっちりのまさにカースト上位と言えるような……そんな人だっだと記憶してる。
 
「あ、あ、あ……朝倉先輩!」
 
 思い出した。野々野足軽はあのギャルっぽい先輩に苦手意識があった。けど、あの人確かに見た目はギャルだし、それっぽくやろうとしてはいる。だけど案外まともだった筈だ。山田先輩のことが好きすぎてちょっと暴走しそうだったが、ちゃんと自制が効く、ギャルだけど一線は越えないような……そんな人だったハズ……と野々野足軽は思い出す。
 今日も今日とて、朝倉先輩はぱっちりとしたメイクを決めて、髪はゆるくウェーブをかけてある。肩から脇にかけてくらいの長さの髪。今日は休日ということもあって、普段よりも彼女は盛ってる用に思える。
 なんか髪には細かい花が付いてるし、服は肩を大胆に出してる。そしてタイトなスカートは腰をかがめることが出来るのか? と言いたく成る短さ。そして学校に登校するときは履けないような高いヒールを履いてるし、その長い脚を惜しげもなくさらしてる。
 小さな鞄を腕にかけて、休日にデートでもいくのか? という感じの服装である。制服でないから、実際大学生とか言ってもバレなさそうな……そんないつもよりもちょっと大人びて見える朝倉先輩は悪魔の宿った女性に粉をかけられてる
 
『貴女、いいわね』
 
 なんかそんな事を道端で朝倉先輩にむかって言ってた。その言い方は欲望を隠そうとしてない感じで、雑……としか言えない様な言葉である。それで信頼とか勝ち得るとかおもってるのか? と野々野足軽は思う。
 けど……
 
(まあ、そんなのは必要ないのか。だって、催眠してしまえばそんなの関係ないし)
 
 そういうことだろう。どんな言動をしたとしても、催眠状態になってしまったら最後、催眠された人の常識はあの悪魔によって覆されてしまう。それこそ命令されたら、公衆の面前であっても、きっと全裸とかになってしまうんだ。
 そしてそれは当たり前だと……催眠状態では本人は思ってそこに羞恥心なんてなくなる。
 
(なんてエロ……いやいや、流石に知り合いだし防いどくか)
 
 今の朝倉先輩がエロくなるのには興味が無いわけじゃない。野々野足軽には心に決めた平賀式部という彼女がいるが、朝倉先輩は平賀式部とはタイプがまったく違う。
 言う慣れば彼女はスタイルがとてもいい。平賀式部がお子様体系……とかでは決して無い。でも朝倉先輩はグラマラス……といえる感じなのだ。
 
(そういえば……)
 
 あの部屋にいた女性たちを思い返す野々野足軽。全員まさにグラマラスだった気がする。つまりは、きっとあの仮面の男の好みの女性を悪魔は集めてるってことなんだろう。それのお眼鏡に叶うのがいいこと……な訳は絶対にないと野々野足軽は思う。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1044

「私も……それにこの世界をただ貴方たちにまかせるなんて不義理な事をこの世界の人達は思ってません」
 
 ミレナパウスさんはそう言った。そして後ろの人達もその言葉に頷いてた。確かに自分達の世界……そして未来を勝ち取るのは自分たちでありたい……と思うのは当然だ。もしもずっと与えられた人々だったのならそれは違ったのかもしれない。けど彼らはそうじゃない。彼らはこの辛い世界で、それでも懸命に生きてきたんだ。だからこそたくましい。誰か……なんて言葉はきっとこぼさない。いや教会の奴らならこぼすだろう。奴らは自分たちを偉いと思ってる。
 だから危なくなったら、誰かが自分を助けてくれるし、きっと見捨てられる事はない……と思ってる。だから最後に「誰か……」と叫んで死んでいく。けど地上で生きてきた人たちは違う。自分たちで切り開く明日を知ってるんだ。危険なんてない中央の人たちとは違う。
 だからこそ、最後まで戦うという覚悟にきっと嘘偽りはない。
 
 扉に変化が訪れる。まだすべての穴には都市核はハマってない。それなのに……ギギギギギ――となんと扉が開き始めたんだ。
 
「どういうことだ? 楽園への扉がもう?」
「いえ、何やら様子がおかしいです」
 
 白く光ってた扉。けど今はどうだ? アイ嬢の言葉通り、開こうとしてる扉はなんかおかしい。さっきまで白かったのに、デザインはそのままになんか黒くなってるし、赤く禍々しい色が都市核がハマるべき場所で光ってた。前開きした扉。そこからなにかが出てくる。それは黒く大きな腕がまず出てきた。黒いその腕には螺旋のような白い渦の模様が走ってる。そして驚愕すべきはその大きさだろう。まだ腕一本だけなのに、その大きさは腕だけで数十メートルはあるだろう。だって扉から地上まで普通に届く。
 
 一体あれがなんなのか……それは自分たちにはわからない。けど……あれはまだ出ようとしてる。いや、サイズ感を考えたら腕一本だけしか出ないと思うが、あの扉も魔法的なものだ。それなら出てこれるのかもしれない。全身が出たら明らかにヤバいだろう。それは腕を砂に突き刺してグリグリとしてる。すると肩口がグリッと出てきたのがみえる。やっぱりだけど実は腕しか無い化け物……ではなく全身がありそうだ。
 それなら……大人しく待ってるなんて愚行だろう。この化け物は今、あの扉から出ることを優先してる。ある意味で今がチャンスだ。
 
「やるんですか? はあ……まった――く!」
 
 そんな事をいって一番に攻撃を仕掛けたのはアイ嬢だった。その手にいつの間にかでっかいメカメカしい銃を出して、飛び上がったら、腕にめがけて発砲する。極太のレーザーの様なそれは一回砂から手を上げたナニカ……にあたって弾き飛ばす。
 
「今……あいつ街を?」
「アレの狙いも都市核なんじゃないですか? 今開いてる状態は普通ではなさそうですし。あれはもしかしたら神が用意した都市核を回収するための存在……なのかもしれないですね」
「なんのためにそんな存在を……都市核を回収なんて……それじゃまるで……」
 
 言葉を飲み込む。だってここには現地の人たちがいる。それなのにこれを言ってしまうと……
 
「まるで神に見限られたみたい……ですか?」
 
 なのに、アイ嬢ははっきりと言ってしまったよ。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1043

 G-01殿が動かなくなった。わざと扉に一つの都市核を与えることでそのロックを開放させて解析を進める。確かに出来ないことはないだろう。あの方なら……それを狙うのも確かにいいのかもしれない。
 自分なら危険だからとためらうが、あの方が出来るというのならばそれを信じるまで。けど流石にあの方でも世界を解明する――という大命題に挑むのであれば中途半端は許されないのだろう。
 それをなしえるまでは戦力として数えられない。でも自分たちがいるからきっと大丈夫なんだろう……そういう風にきっと思ってくれたということだろう。それはなんだか……
 
「嬉しいな」
 
 自分はそういった。自分の隣の女性に。
 
「何がですか?」
 
 アイ嬢はそういって首をかしげる。作られたかのような完璧な美貌はある意味で冷たさを醸し出す。彼女をみてそれをしった。いや、実際作られてるんだが……でも、それでも彼女は美しすぎる。冷たさを感じても、きっと男ならその美貌から目を離すなんて事はできないだろう。
 そう思えるだけの美しさが彼女にはある。そして彼女は元はG-01殿の為の補助として生まれた存在らしいから、感情というものをいまいち理解してない。それだから感情が薄いように見える。
 でも、薄く見えるその奥には確かな感情の変化を自分は感じることができる。それに……だ。それに彼女は素っ気ない態度を取るも、その心は常にG-01殿と共にある。それは間違いない。だから自分は彼女に向けてこういった。
 
「我々を頼ってくれたことです。我々がいるから、G-01殿は安心してくれてる。それは誇れることでしょう?」
「そうですか? 私は時間外労働には残業代を求めたいところですけど……」
「ううん?」
 
 なんかよくわかんない事を言われた。けどきっと照れ隠しだろう。なにせ、そんな事を言ってもアイ嬢はここから離れるようなことはしない。ここで自分とともに戦う覚悟があるからだ。実際、彼女の体は自分よりも高性能だ。
 ただ体のスペックだけで遅れを取る……なんて気はないが、それはただ事実として受け止めてる。
 
「お二人だけで戦うつもりですか?」
 
 最前線にいる自分たちへと、そんな声が届けられた。そこにはミレナパウスさんがきてた。いや彼女だけじゃない。この戦場で戦ってたこの世界の皆……彼らはまだ戦いが続くことを覚悟してる表情をしてる。