uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第三十一話part2

「小頭は、案外、強いのね」
「私だって色々と巻き込まれてきたからね」
 
 おばあちゃんにもここに来てから話した。私がここ数か月で体験したこと。それは普通なら信じられない出来事ばかり。でも、そういう世界になってしまった。まあそれでも、小頭の話をどれだけ信じてたのかはわからない。だってジジババなんてのは孫の話をニコニコしながら聞くものではないだろうか? でも、今やおばあちゃんはあれが本当の本当の出来事だったんだと……きっと思ってるだろう。なにせ鬼と普通に話してるし、突っ込んだりしてる。
 まさに兄妹のよう……は言い過ぎだろうと思うが、まるで普通の友人関係を築けてるみたいだとおばあちゃんは思った。
 
「私たちは元の世界に戻りたいの。その手伝い、してくれない?」
 
 そんな風に鬼女は目的を話す。するとおばあちゃんは意外なことをいった。
 
「小頭は巻き込まないで。私なら、どんな協力だってするから」
「おばあ――」
「わかって小頭。あなたまで失いたくないの」
 
 ぎゅうううう――と強く抱きしめてくるおばあちゃん。その体は震えてた。それを感じてしまった小頭は、発そうとしてた言葉を飲み込んだ。だっておばあちゃんは既に後悔してる。そんなおばあちゃんだからこそ、小頭はおばあちゃんの発した言葉の意味だってわかってる。心配してくれてるんだ。危険から遠ざけたいと思ってる。それは確かな『愛』だろう。だから……小頭は反論なんていえない。
 
「まあその子には何もないから別に……」
「いや、ダメだ」
 
 鬼女は軽そうに了承しようとしてた。実際小頭には何の力もないんだ。だからこそ、足手まといになることはあっても、役に立つことなんてないだろう。だから鬼たちはおばあちゃんの意見に反対なんてしない……と思ってた。でもなんと、鬼男がおばあちゃんの望みを却下する。それには小頭も「なんで?」とおもった。なにせ一番役立たずなのは小頭がわかってるんだから。それに鬼男は小頭の事をどうおもってるのかよくわからない。いや、一応気にかけてくれてるのはわかってた。
 けど……だからって、ようやく世話から解放されるのに、それを拒否する? それが小頭にはわからない。
 
「なんでですか? この子にはなんの力もありません。だから安全な場所に……」
「安全な場所なんて今や周囲にはどこにもない。なにせ、小頭は気づいてる。気づいてなかったら、何もされなかったかもしれないが、彼女ももう、こちら側にいる」
 
 低く重い声で鬼男はいった。まさかそんな長い言葉を紡げるなんて……それに小頭は驚いた。それになんか名前をいわれたし、小頭自身がもう巻き込まれてるという事実もびっくりはしたが、納得もできる。なにせあれだけの魑魅魍魎が放たれてるのに、この街には混乱はみえない。いつも通りだ。それがおかしい。きっとこの異変に気付いてしまった時点で、小頭は蚊帳の外には行けないんだろう。

転生したらロボットの中だった(ただし出ることは出来ません)盤上の迷宮航路にご招待 155

 崩れかけた腕。あと一歩の所だった。そこに勝利があっただろう。けど、止めれらた。現れたのはG-01殿。その現れた場所も、まさかの腕が現れた場所と同じ……なにかあの建造物はどこかに繋がってるのだろうか? 
 
「なに? 今更来て。良いところだけ横取りするつもり?」
 
 そんな風に怒った風にアイ殿がいう。それはきっとこれまでの頑張りがあるからだろう。自分たちの手柄。それをなかったことになんかされたくないというね。
 実際、それはある。ようやくだった。勝利は見えてた。そこに横やりを入れられたら、それはちょっと……ね。でも自分は何もいわない。なにせG-01殿が何の理由もなくこんな事をするなんて思ってないからだ。
 
 きっと説明してくれるだろう。それはアイ殿だってわかってるはず。でも言わずにはいられなかったのかもしれない。それはもしかしたら自分たちのため? いや少なくともミレナパウスさんのためだったのかもしれない。
 なにせミレナパウスさんは一番の新参者。G-01殿に意見なんてできようはずもない。ミレナパウスさんはG-01殿を神と同列くらいには崇めてる。
 そんな存在に文句なんて言わないだろう。だから気兼ねなくアイ殿が意見を言ってるのかも。
 
『安心してください。何も貴方達の頑張りをなかったことにするつもりはないです。皆さん、頑張りましたね』
 
 そんなねぎらいの言葉をG-01殿は言ってくれる。それで自分とミレナパウスさんはなにか満たされるような……そんな感情が湧いてくる。ちょろいのかもしれない。
 でもこれは仕方ない。なにせそれはまるで遠い日に母に撫でられた時の様な……そんな充足感があるんだ。きっとそれはミレナパウスさんも一緒だろう。
 違うのはアイ殿だけ……もしかしたら自分たちの関係はG-01殿を頂点とした関係だから自然とそういう風な感情が湧き上がる様になってるのかもしれない。
 でもそれでも……G-01殿はただ適当にいってるだけではないだろう。自分たちの成長をちゃんとわかってくれてるはずだ。
 
「そんな言葉だけで……」
『ではあなたにはこの情報の解析をお願いしておきます』
「はぁぁぁ!? ああああああああああああ!? これって……」
 
 何を受け取ったのかわからないが、なにやらアイ殿がとても興奮しだした。一体何を貰ったのか……アイ殿は自身の銃の形を変えて、半分に割れた卵みたいな形にしてそこに納まる。そして目を閉じてしまった。
 そして出てた上半身を包むように透明な幕が彼女を包んで完全な卵型になる。あれはアイ殿の引きこもり態勢だ。ああなると外界からの雑事を全て遮断する。
 アイ殿はつまりは引きこもってしまったということだ。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第三十一話part1

「……」
 
 夏の蒸し暑い風が流れる。木々の隙間からこぼれる光さえ、目を焼くような……そんな日差しを小頭はみつめてた。おばあちゃんの話……あの扉、小頭は地獄の門だと思ったそれと、鬼たちの姿を見てなかったら、おばあちゃんは何を言ってるんだろう? と思ったかもしれない。おばあちゃんは小頭とは違ってずっと地面を見てる。おばあちゃんはきっと悔いてるんだ。後悔してる。なにせ……
 
「私が……あの扉の向こうに行くべきだったの。それなのに……足軽は私を帰してくれた。足軽はきっとあの扉の向こうに行ってしまってるわ。ごめんなさい。もしかしたら……もう足軽には……」
 
 ポタポタとおばあちゃんの瞳から涙が流れてる。きっと自分を追い詰めてたんだろう。小頭はそんなおばあちゃんの前に立つ。そしてハンカチを差し出した。
 
「おばあちゃん。まだ諦めるには早いよ」
「小頭ちゃん?」
 
 おばあちゃんはびっくりしてる。まさか小頭がそんな事をいうとは思ってなかったんだろう。なにせおばあちゃんにとっては小頭は小さな子供で、可愛い孫娘だ。小頭はもう中学生だからとか思ってるが、おばあちゃんにとってはいつまで経っても小さな子供なのだ。だからそんな小頭が強く立ってるのを見て驚く。もっとうろたえると思ってた。それに、責められたりしてもおかしくないし、その覚悟だっておばあちゃんはしてた。でも小頭は優しい顔でおばあちゃんにハンカチを差し出してる。まるで後光がさしてるようにおばあちゃんには見えた。
 
「おばあちゃんがこっちにいるんだもん、お兄ちゃんだって戻ってこれるよ。それに……」
 
 そういってどこかに合図するように小頭はうなづいた。すると二人の人物が現れた。それは額に角が生えた男女。男は浅黒く女は赤黒い。そんな二人が小頭を挟むように立ってる。そのうちの女のほう……それを見ておばあちゃんは声を荒げた。
 
「だめ! 小頭ちゃんこっちにきて!」
 
 そういっておばあちゃんは小頭の差し出してたハンカチではなくその手をそのまま掴んで引き寄せる。そして二人の鬼から守るように小頭をその体で包んだ。困ったように二人で顔を見合わせる鬼たち。
 
「私ならどうしてもいいから! この子には何もしないで!」
 
 それはおばあちゃんなりの決死の覚悟だったのかもしれない。足軽に助けられたから、何としても小頭だけはまもろうとする気概。自分はどうなってもいいとおばあちゃんは思ってるんだろう。けどそこに小頭が優しくいうよ。
 
「大丈夫だよおばあちゃん。二人は見た目ほど野蛮じゃないから」
「……」
「あはは。見た目ほどって傷ついちゃうよ」
 
 鬼男はただ静かに目を閉じてる。鬼女は軽い感じでそういった。それに対しておばあちゃんは「え?」という。
 
「おばあちゃんは彼女に会ったことあるんだよね?」
「……ええ、目覚めたときに……でも彼女は何も言わなかった。そのまま去っていったわ」」
 
 それにあの見た目だ。おばあちゃんが誤解するのも無理はない。小頭は鬼女を無言で見つめる。すると罰が悪そうに鬼女はこういった。
 
「だって、私もあの時は混乱してたし? とりあえず無事だったのならいいかなって……」
 
 どうやら鬼女的にはちゃんと無事を見届けるまで傍にいた……という事らしい。そしておばあちゃんが目覚めてなんの問題もなさそうだったから、とりあえずその場を離れた……と。わからなくもない。彼女だっていきなりこっちの世界に来たんだから混乱してたのも納得だ。言葉が通じるんだから、二人で情報共有したらよかったじゃん……と小頭は思うがきっとそれは結果論なんだろうと思う事にした。

転生したらロボットの中だった(ただし出ることは出来ません)盤上の迷宮航路にご招待 154

 研ぎ澄ませた力。腕は五重にカートリッジを吐き出してその力を最大限に高めてる。二つの腕が全部を赤くして、今にも溢れそうな力をこちらに向けてくる。今までは右左で普通に腕を振るってきたんだが、今回はその腕を後方にピーンと伸ばしてそして更に回転も加えてる。そして大きく回り込んで勢いまでつけてむかってる。
 さらにさらに、噴き出したブースターがキラキラとした粒子を放ち、まるで大きな蝶の羽の形を形成してた。美しい光景だ。けどこっちも負けてる訳にはいかない。だからってこっちは力を高めてる訳じゃない。
 研ぎ澄ませてる。だから派手な事なんて一切ない。寧ろ、自分はリラックスしてた。深く息を吐き、体内の聖剣と対話する。
 
「わかりますか? 私はここにいます」
「ああ」
 
 腰を落として、背を丸める。右腕を左の腰の所にもっていき、そこにはない剣を掴む。向かってくる腕の圧力を感じる。けど自分はまだ動かない。
 
 キン――
 
 そんな音が響いた。それは自分が動いた音じゃない。
 
「行きなさい勇者。今なら切れる!」
 
 アイ殿の言葉。今のは彼女の攻撃だろう。まるで銃弾がはじかれたような音だったけど、疑いなんてしない。きっと彼女はやってくれた。今の腕はこの船のシステムから切り離された状態なんだろう。
 
 何も変わってないように見えるが向かってくる腕がぶつかる直前に自分も動く。そこにはない剣を振りかぶる。ないけど、ある。そもそもが剣は自分自身。
 
 ガガガガガガガガガガガガガガガガガ――
 
 と、何度でもぶつかりあう音が響く。そして自分たちは交差してた。訪れる静寂。プシューと腕が白い湯気を吐く。その瞬間に膝をつく自分。自分の腕がかなりぼろぼろになってる。感覚がないといっていい。
 けど……
 
 ボン! バンッ! ドガン!
 
 ――と腕は至る所から爆発して腕自体が落ちていく。そしてそれと共に、腕が繋がってる輪っか。そこにもひびがピギピキ――と広がっていく。
 
(これで終わりだ)
 
 そう思った時だった。
 
『ちょっと待ちなさい』
 
 そんな声が頭に響くと同時に、崩れたこの工場の中心、腕が現れた場所からG-01殿が現れた。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第三十話part5

足軽……ありがとう」
 
 そんな風におばあちゃんの瞳に意思が宿ったのがわかった。どうやら野々野足軽の狙いは成功したみたい。ちょうどいい感じで脳を刺激することが出来たようだ。下手にやると脳がシャッフルされて世界がグワングワンとなってしまう。実際、野々野足軽なら、敵対する相手の脳を揺らせば大抵は完封出来るだろう。ならばなんでサルにはやらなかったのか。流石にこれ以上長引くか、周囲にまで被害がでそうなら、脳シャッフルをやったと思う。
 大抵の存在はいきなり頭の中に何かされる……なんて経験なんてないだろう。だからこそ、誰もが対策なんてできない。当然、おかしくなってたおばあちゃんに何かできる事はなくて、足軽の攻撃はそのまま通った。でも足軽はかなり緊張してた。なにせおばあちゃんは大切な人だ。下手に強くやりすぎると、どんな後遺症が起こるかなんてわからないのだ。実際、足軽の力なら、ちょっと力を籠めたらプヨプヨの脳みそなんて簡単に頭の中で爆散させることだって出来てしまうのだ。
 出力を間違えてしまえば、最悪そんなことになりかねない。流石にそこまでの事になったことはないが、足軽は慎重にやった。そしてうまくいった。
 
「よかった。大丈夫? 頭、変な感じしない?」
「大丈夫。頭よりもこっちの方がいたいわ」
 
 そんな風に言っておばあちゃんは腕を見せる。足軽を投げ捨てた方の腕。足軽の方だけではなく、おばあちゃんにもダメージはあったみたいだ。かなり痛々しい色をしてる。なんか紫色になってた。
 
「我慢してて」
 
 そういった足軽は力をおばあちゃんの腕に集中する。すると痛みが引いていく気がした。
 
「こんなことまで……凄いわね」
「まだ完全に治った訳じゃないから。あまり動かさないでね……さて」
 
 足軽は前に出る。おばあちゃんをかばうようにして、さらに周囲に結界を展開する。どうやって周囲を洗脳してるのかわからない。だから大抵の物を弾く結界を張った。
 
足軽……周りが……」
 
 おばあちゃんは今気づいたみたいだ。なんでそんなに慄いてるのかというと、それは周囲が地獄絵図になってるからだ。徐々に扉が開き始めてた。そしてそれに呼応するように、集まってた野生動物たちは倒れだした。そして草木は枯れて、山が死んでいく。生命エネルギーともいえるものが、あの扉へと吸い込まれてる。足軽達もジリジリと扉に吸い込まれそうになってる。何とか耐えてるのは足軽の力のおかげだ。そしてついに大きく完全に扉が開く。
 
 それと同時に、周囲が完全に変わった。扉に入った記憶はない。けど、そうなったんだと足軽は思った。
 
「おばあちゃんごめん!!」
 
 足軽はおばあちゃんの周囲に力を与えて、一気に投げ飛ばした。「戻れ! 戻れ!」と力に祈って後方に飛ばしたんだ。そして足軽は前を向く。そこには足軽よりも大きな人。 いや人? 頭には二つの角が見える。それに体も赤黒い。鬼のような存在がそこにはいた。

転生したらロボットの中だった(ただし出ることは出来ません)盤上の迷宮航路にご招待 153

 新たな形態を使って、腕と戦う。腕の多段攻撃にも対応できてる。内部に響く振動。それを同じ振動で相殺するのだ。単純な事だけど、いきなりやるのは難しい。でも、自分の中にはノアもいる。だからできる。聖剣と自分で戦い。
 補助をノアに任せる。盤石な態勢だろう。それに……
 
(馴れて来たぞ)
 
 この形態も初めてだから探り探りだっだ。どこまで出せるのか、限界はどこなのか、あとは感覚をすり合わせていく感じ。それをやってきた。そしてようやくこの形態を掴んできた……と思う。自身がまさに剣へとなってるこの形態。
 どうやらその気になれば、手のひらからでも、どこからでも刀身を出したりできた。
 まあけどみえない刃の方が効果的ではある。わざとみせてそっちに意識をもっていかせるのもいいだけど、そもそもが腕には顔がない。奴の視線はこっちにはわからないから、どこに意識が向いてるかこっちがわからない。
 だからそれはちょっとうまみが少ない気がする。かなりミレナパウスさんが目玉の数を減らしてくれてる。でも……ボロボロでも目玉は動き出したりしてる。修理……されてる? 
 
 まだ腕にはその手は伸びてない。腕は簡易的には修理とかできないのかもしれない。実際こいつは特別だ。簡単に修理や整備ができるようなタイプじゃないのかも。
 
「そろそろ決めるわよ。あの子も限界が近いし、負担ばかりかけてられないわ」
「わかってます。そのつもりです」
「特殊な弾丸を用意したわ。あいつをこの弾丸でシステムから切り離す。そしたら勇者。あんたが決めなさい」
「はい!」
 
 いつの間にか背中についてたアイ殿からのその言葉。それだけ言うと静かに彼女は距離をとる。狙いを定めるんだろう。こちらも準備をしよう。高めるんじゃなく、研ぎ澄ませる。
 そのほうがこの腕にきっと気づかれないだろう。力を高めると、どうしても察せられてしまう。なにせエネルギーは常に戦闘中には気をかけてるからだ。
 エネルギーの上下、それを意識するのは戦闘の基本といっていい。高まったら、強力な攻撃がくるし、下の方にいってそれが元に戻らないのなら、エネルギーが残りすくないとわかる。
 戦闘において、その情報はとても大切だ。だからこそ、なるべく知られないようにもするものだが、やっぱり決死の一撃とかなると、気づかれないようにするのは難しい。
 だからこそ、高めるんじゃなくエネルギーを研ぎ澄ませるんだ。それはきっとこの腕にはない概念だろう。
 この戦いの終わりも近づいてる。自分はそれを感じてた。

ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第三十話part4

 ズキンズキンと痛みが野々野足軽の思考を邪魔してくる。流石にただ放置する……というのは不味いと判断した野々野足軽は力を使って急速に腕を直す。
 とりあえず完璧に骨をつなぐには時間がかかる。だから足軽は痛みを遠くにやって、同時にサイコキネシスで強制的におばあちゃんの動きを止めた。
 
 不可視の力によって強制的に体の動きを止められたおばあちゃん。でも……
 
「まさか……」
 
 ギギギギギギ――と彼女は野々野足軽サイコキネシスを受けても尚、体を動かそうとしてる。今の野々野足軽サイコキネシスはそれこそかなりの出力を出せる。なにが作用してるのかは分かってないが、力を向けて、それに包んでそして様々な事ができる。
 一応制限として、視界が通る所でないとサイコキネシスは発揮できない。でもその制限は実はあってないようなものだ。なにせ野々野足軽は透視も遠視もできる。その気になれば、野々野足軽は世界を見渡すことだって……
 まあ今はそんなのは関係ない。それに今の野々野足軽なら、トラックを数台一気に空に持ち上げることだって出来る。そのくらい鍛えてあるのだ。
 だから……その力に抵抗してるおばあちゃんはおかしい。確かにおばあちゃんにも力がある。だからそれを使ってる? いや、操られてるおばあちゃんは力を使ってる感じはない。ならば無理矢理、筋肉を酷使してることになる。
 それはとても危ないことだと足軽は思った。だって脳が普段筋肉の稼働率を制限してるのは体を守るためだ。100%を出すと体が耐えられないから、普段は脳が力を抑制してると聞いたことある。
 火事場のバカ力とかはその制限を取っ払った状態だけど、逆に言うとそれだけの時でないとあってはならない事。
 それにおばあちゃんはの今の肉体は言っちゃ悪いが老体だ。それなのに火事場の馬鹿力なんて使ったら影響が若い体よりも大きいだろう。それに足軽サイコキネシスに抵抗してあまつさえ少し動いてる。
 その内血管とが内部で破裂しだして筋肉が青紫になってたりするかもしれない。
 
「こうなったら……」
 
 そう思って足軽は力をこまめに調整する。そして……
 
『わっ!』
 
 ――という声を発する。でもそれは耳に届かせる為じゃない。その声はおばあちゃんの脳にめがけて放った。音を直接脳にぶつけて洗脳を解こうと思ったんだ。
 強制的な術だが、それしか足軽には術がなかった。