「俺の力をカスみたいに粉砕するなんて」
「いや、お前の力はもともと俺のだし……」
だから当然だろ? ――というニュアンスで野々野足軽は言った。そう、言ったつもりだった。そんなのお前だってわかってるはずだろってさ。だから別に何も驚くことなんかじゃない。そのはずなんだけど……なぜか二号は感激してる。
野々野足軽とコピー二号の力関係を考えるとそんなのは当然なのに……だ。
「ああ、そうだ。その通り、俺の力はあんたで、あんたの力は俺のじゃない。俺は結局、与えられた力しか使えない」
「お、おう……」
「でも、俺の力はそれなりの物のはずだろ?」
「それは……まあな」
うん、それはそうだ。だって野々野足軽は自身がいない時に自分の大切な人達。日常というものを守らせる為にコピー二号にその力を与えた。さすがに星を破壊できるほどの力は与えてないが、ほかの超能力者と戦えるだけの力。いや、もっと言えば大抵の超能力者には勝てるような力を与えてるつもりだ。
危険? でも野々野足軽的にはコピーだって自分だ。自分なら力の使い方を間違う事なんてないっていう信頼があった。そう自分なら……でも目の前のこいつは……二号は……
「お前、本当に俺か?」
そんな言葉が口をついて出てた。野々野足軽は本当はそれを口にするつもりはなかった。まずは自分で考えようって思ってた。
でもついついその言葉は口をついて出てたんだ。それは本心だったからなのかもしれない。それに……コピーに対してだから口が軽くなってたのかも? そこのところはよくわからない。
「さあ、どうだろうな? けど、俺を作り出したのは俺だろ?」
そういって二号は『俺』……野々野足軽を指さした。そしてそれは正しい。確かに二号を作ったのは間違いなく野々野足軽本人だ。
でも、何か特別なことをしたつもりはない。確かに性格とか、考えとか……そこら辺を何か考えて作ったのか? といえば足軽はそんなことはなかった。
だってなんか自然にできたからだ。力を具現化して、それをこねくり回して側を作った。野々野足軽にはそこまで芸術性はない。
だって美術の成績は大体2くらいだった。漫画家になろうと思ったこともあった。でも自分に絵心はないとわかっただけだ。
そんな野々野足軽だけど、力を使えば自分の姿を模すのは簡単だった。じゃあその時に思考はどうしたのか? といえば……
(俺の頭を移しこめばいいか)
――という事で野々野足軽は自分の頭の中を二号に移した。それだけだ。外側も内側もこれでコピーできたと思った。だってパソコンとかも移行するときはバックアップをとってそれを新しい側のパソコンで復元すると、それは前のパソコンと同じになるでだろう。
てかならなかった困る。その感覚だった。でも……目の前の野々野足軽のコピー二号は見た目は確かに野々野足軽だ。ちょっとがっしりしてるが、それでも野々野足軽だと皆が思うだろう。
頭の中だって記憶をも共有してて、これまでの人生と経験はすべて二号もわかってる。人を形作るのがこれまでの経験と環境というのなら、コピー二号は野々野足軽になってないとおかしい。
そのはずだろう。でも……野々野足軽は思う。
(目の前のこいつは、俺の体を持った俺じゃない誰か……だ)
って。