2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧
「本当に協会は正しくないのだろうか?」 アヴァーチェにとっては妹、プライムにとっては姉である最後の子供の所に向かう途中でぼそっとアヴァーチェがそういった。目の当たりにしたはずだが、これまでの教育の成果か、まだ協会を信じたいようだ。 (いや、…
「行くぞプライム!! 走れ!」 そういってアヴァーチェがプライムの手を引いて砂の中へと消えていく。俺はそれを見て「ふう」と息を吐いて変身魔法を解いた。ちゃんとこの流れに持っていけるのか……実際ひやひやしたよ。 やっぱり無理矢理連れて行くのと、自…
「協会はどうあっても魔法を血浄以上の物を提供する気はないのですか? 協会が血浄以上の物を提供できると民がしれば、それを求めるはずです」 「それは混乱につながるのですよ」 協会側の意見として、俺は勝手にこれ以上はない……という態度をとる。いやだっ…
「安全ですか。それはここだけではないですか。この中央だけが安全で、そんなことに意味なんてあるのでしょうか?」 プライムの奴が大手を振るった神父(俺)を非難するようにそう言うよ。うむうむ正しい。それは実際に正しいぞ。協会の奴らは自分たちさえ良…
「協会は魔法という力を誰しもが持つことを恐れたのではないですか?」 「何を根拠にそんな……いえ、私たちは知ってるからですよ。力は正しく使われないといけないということに」 プライムの質問に、俺は宗教家がいいそうなそれっぽい事を並べたてる。俺の世…
「貴方達はかつて魔法を市中に広めた神父様を抹消した……その神父様の功績をすべて協会のものとして……ちがいますか?」 「嘆かわしいですな。それは違いますよ」 「ちがうんですか? 兄上の言葉では協会がそうしたと……」 「プライム!」 プライムのとんでも発…
「貴方達は正しい教育を受けなければなりません。そのためです」 「なるほど! 確かに協会には知識が深い方々が多い! そのためですね! 協会の知識を惜しげもなく王家にも共有しようと! その心意気、感動しました!!」 あっ、うん……なんか適当に……ほんと…
「貴方達は正しい教育を受けなければなりません。そのためです」 「なるほど! 確かに協会には知識が深い方々が多い! そのためですね! 協会の知識を惜しげもなく王家にも共有しようと! その心意気、感動しました!!」 あっ、うん……なんか適当に……ほんと…
「兄上の妄想はひとまず置いておきましょう」 「妄想とはなんだ!」 「いや、そうでしょう?」 兄弟は楽しく言い合いをしてる。まあ楽しいのかは正直微妙だが。アヴァーチェは普通にムキになってる気がするが、プライムはそれなりに楽しそうだ。 論破するの…
「排除……とはまた物騒な物言いだな」 「そうですか? ただの事実を語っただけですが」 どうやらアヴァーチェはプライムの言葉に賛同しかねるようだ。それはアヴァーチェが本当の協会の姿を知らないからだろう。まあけどそれならばプライムはどうなんだってこ…
「魔法はとても尊い力だ。それを……」 「それを民たちに広めるのはプライドが許しませんか?」 「違う! そうじゃない。ただ魔法は誰にでも使えるものではない」 「そうなのですか? 学べば大なり小なりはあるでしょうが、誰しもが使えるものだとは思ったんで…
「お前に協会の何がわかる? いや、悪い事をここでされたのか?」 「そういうことは別にないですが……」 「なら、なんでそんな事が言える。協会は人々を導くために身を粉にしてるじゃないか」 「そうでしょうか?」 アヴァーチェはどうにか協会の正当性という…
「お前の目的はなんだ?」 「私はただ、兄上と姉上を助けたいのです」 「助けたい?」 「はい」 どうやら砂獣とかの疑惑は晴れたらしい。アヴァーチェはプライムに対して言葉をかける。対話の態勢には入ったみたい。だが、警戒はしてる。 アヴァーチェの魔法…
「兄上、私を見てください。砂獣がこんな弱い存在のフリをする必要がありますか?」 「それだけ狡猾な奴なのだろう?」 そういってアヴァーチェは大きく息を吸ってはいた。あからさまにやってないが、どうやら魔法的な力を体内で巡らせてるみたいだ。深く息…
「いや……しかし……」 アヴァーチェはそれでもやっぱりなかなかに今、目の前にいるのが自分の弟だとは一概には信じられないようだ。まあ状況が状況だしな。実際、あんまりゆっくりと二人の記憶をすり合わせてる暇はない。 一応外にはわからないように、視界を…
「信じられぬのもわかります。ですが、これが本当の私です」 「まさか……そんな筈は……」 プライムはしっかりと真実を真摯に言ってる。でもまあ信じられないその気持ちも当然わかる。だって自分だって、いきなりそんなことを言われたって信じられないだろう。…
「プライム……なのか?」 「はい、お久しぶりです兄上」 「どういうことだ? なんでお前がここにいる? それにこれは?」 アヴァーチェは困惑してる。まあそうだろう。なにせいきなり自分の弟が現れたんだ。ここにいるはずがない弟だ。にわかには信じられない…
「プライム……なのか?」 「はい、お久しぶりです兄上」 「どういうことだ? なんでお前がここにいる? それにこれは?」 アヴァーチェは困惑してる。まあそうだろう。なにせいきなり自分の弟が現れたんだ。ここにいるはずがない弟だ。にわかには信じられない…
「凄いです兄上」 そういってプライムも感動してる。まあ確かに凄い。多分プライムはまだま魔法とか使えないんだろう。だからそれを使えるアヴァーチェに純粋に尊敬の念を抱いてるようだ。 「前はああいう事、できなかったのか? あったことはあるんだよな?…
「凄いです! 流石アヴァーチェ様!」 「本当ですよ! こんなに早く魔力を外側に出すことが出来るなんて! コツとかありますか?」 「コツか……そうだね――」 どうやらプライムの兄であるあの王子様『アヴァーチェ』というらしい。プライムと同じく白銀の髪を…
何個か部屋を見てみてが。どこもかしこも魔法でその様相は部屋の中……とは思えないようなところばかりだった。なるほどね。 魔法で拡張して色々と複雑な事をやって、建物の中でも息苦しくならないようになってるのかも。まあそれにしても…… (随分と物騒なと…
少し離れた区画に重厚そうな扉があった。多分この先だ。中央に赤い大きな丸い石がはまった扉はとても精密な装飾が施されてる。 てかこれだけで壁画かのような……そんな感じも受けるとても凝った作りの白い扉だ。他の光と視覚を繋げて見た感じ、この先に少し成…
幼い王子様『プライム』を肩に乗せて俺は近くのもう少し年齢層高めのエリアへと向かってた。プライムは本当はもっと複雑で長い名前なわけだけど、なんか愛称で呼んでいいと言われた。 「それにしても……本当に貴方はすごいですね」 「そうですか?」 多分だけ…
「父や母が動く時が来たと、そういうことですか?」 考え込んでた幼い王子様がそう言ってきた。俺はそれに頷いてさらに情報を追加する。 「お二人はこの中央から脱出して、アズバインバカラへといかれる予定です。なので御子息たちを救出しにきました」 「あ…