uenoutaの日記

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転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 305

「魔法はとても尊い力だ。それを……」
「それを民たちに広めるのはプライドが許しませんか?」
「違う! そうじゃない。ただ魔法は誰にでも使えるものではない」
「そうなのですか? 学べば大なり小なりはあるでしょうが、誰しもが使えるものだとは思ったんですが?」
 
 そういいつつ、プライムはこっちを見て来る。多分何やら魔法の使用で自分の言ったことが間違ってないのか、アヴァーチェに知られずに確認してきてるんだと思う。でもな……実際、この世界の魔法が俺たちの世界とどれだけ同じかはよくわからない。
 
 魔力……というか、根源的な魔法の力を誰しもが内包してるのなら、誰もが学べばそれこそ大なり小なりではあるが、使えるようにはなるだろう。
 
(そういえば血浄は使えない奴はいないと聞くな……)
 
 親しくなった賞金稼ぎの連中からそんな話を聞いたことがある。ということは、少なくとも血浄というシステムを介せばだれもが使えるのでは? 俺はとりあえず頷いておく。
 
「魔法は尊いから……」
尊いとはなんですか? それを決めるのは? 血ですか? 立場ですか? 権力ですか? それとも職業とか? ですが確か賞金稼ぎが使う血浄というのも一種の魔法的なものだと聞き及びましたが?」
 
 一体普段からプライムは何を考えてるんだろうか? ここまでくる間の会話で別段血浄の事は言ってない。俺も今しがた血浄が思い浮かんだから、このタイミングでプライムがそのことを口にしたからちょっと驚いてる。
 
「あれは野蛮だ! 野蛮な方法とそして簒奪されたものだ」
「広めたのは確か協会だったと聞き及んでますが?」
 
 そうなのか? そこまではらしなかったな。もしかしたらジャル爺さんならそこら辺を知ってたのかもしれないが、あの人今はジャルバジャルではしゃいでるだろうからな……俺が連れてきた賞金稼ぎの連中は血浄という術を教えられてるだけで、それがどういういきさつで広まった――とかは言ってなかったからな。
 でも協会が血浄を広めたのなら、アヴァーチェがいう野蛮というのもおかしな話だ。でも簒奪されたのに広めたのは協会? というのもなんか矛盾してるが。
 
「古い記録だ。昔、血浄を広めた神父がいたようだ」
「なるほど、協会は血浄も広める気はなかったのですね。ですが一人の神父様が市中にそれを流した。それはきっとあっという間に広がったのでしょうね。既に一人二人を消せば済む問題ではなくなったので、協会が恵んだことにした――という事ですか」
「それではまるで協会が手柄を横取りしたみたいではないか!」
 
 アヴァーチェがプライムの想像に起こってるが、たぶん間違ってないよな。その通りだと思う。
 
「ちなみにその神父の名前はわかりますか?」
 
 怒ってるアヴァーチェにおじけることなくプライムはそういった。それにちょっとイラっとした感じがあったが兄というプライドがあるんだろう一応心を落ち着かせて言葉を紡ぐアヴァーチェ
 
「いや、名前まではわからなかった。消されてるようだ」
「排除されたのでしょうね」
 
 余計な事をした奴を協会がそのままにしておくとは考えにくい。その神父は協会からはどうやら裏切者として存在を抹消されてるんだろうな。お気の毒な事だ。多分、協会のやり方とか世界の厳しさに耐えかねて、本当の教えの通りにその人は動いただけだろうに……でもその神父の行動は実を結び、今日まで血浄は残ってる。
 そしてたくさんの人たちを救ったはずだ。今まで出会った協会関係者の誰よりも立派だな。