uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力が目覚めた件 434P

「あがあああああああああああああ!?」
 
 四足歩行の男が体を低くしてその手足を使って草陰草案へと向かってくる。更に視線はどこかいっちゃってて、更に吠えてる口からはダラダラと犬のように唾液が出てる。草陰草案達が気づいたのが遅れたのは、そいつが本当に低く……むしろ犬というよりも、トカゲ? みたいに這ってたからだ。警官隊の包囲もすでに突破してた。きっとさっきの風に気を取られてた。
 けど考えてみたらあり得る事だった。犬や猫の様な行動を取る人が居るのなら、トカゲとかの行動を取る人がいてもおかしくない。だって今の時代、そういう爬虫類を飼ってる人たちだっている。
 まあけど、爬虫類は声を上げて走り寄ってくる……なんて事はしないと思うが……
 
「しまっ!」
「草案ちゃん!!」
「ひよええええええ!?」
 
 そんな声を出してる周囲の男ども。あの四足歩行の男は想像以上に機敏だった。半裸で目がイってる大人の男……あんなのに襲われたら中学生の女の子なんてひとたまりもない。だからこそ、猩々坊主とか大人や大学生達は草陰草案を守る気満々だった。けどそんな守りをすり抜けてやつはいく。
 
 その脚に狙いを定めてるのか、食いつこうと口を開ける。
 
「ひっ!?」
 
 むき出しの脚……女子中学生の脚である。細いその脚にむしゃぶりつこうとしてるそいつに、背後から現れた存在がサッカーボールを切るように顔を蹴った。
 
「ちょっ!?」
 
 やりすぎでは? と草陰草案は思った。なにせ、彼らは正気じゃない。自分の意志ではなく、狂乱状態といっていいのだ。だからこそ、猩々坊主やアンゴラ氏だってあまり暴力的な事はできなかった。アンゴラ氏の力は派手な音は出すが、実際そんなに体に衝撃を伝える様なものじゃない。
 でも今のは完全に思いっきり顔面を蹴り上げてた。歯とか白いのが吹っ飛んでいったかもしれない。
 
「大丈夫ですか草案様」
「あ、はい」
 
 出てきたのは黒服たち。草陰草案を守るSPである。なにせ沢山の人を治して、力をもってて、その存在が世界に認知されてる草陰草案である。ただ唯一、たった一人だけ……その力を『本物』として国家に認知されてる存在である草陰草案だからこそ、その周囲には政治家とかVIPと同じようにボディガードが配置されてるのだ。
 
 彼女に救われたVIP達はすでに多い。だからこそ、そんな恩人の彼女を守るためにそんな人たちがお金を出して草陰草案にボディガードを付けてるのである。勿論そんな彼らは普通の人達とは違って、厳しい訓練を受けた人たちだ。
 セコムとかのただの民間警備会社とかではない。もっと深いところにも食い込んでるスペシャリスト達……そんな屈強な人たちが草陰草案には付いてるのだ。
 
「か、確保おおおおお!!」
 
 蹴られた男を警官隊の人たちが取り押さえる。けどそれはどうやら悪手だった。自分たちの包囲から抜け出して女子中学生が襲われたという失態が素早い行動を取らせたんだろうけど……あの男は謎の力に当てられてる。
 
「とりあえず草案様は後ろに……」
「駄目です! その人に近づいたら!」
 
 そんな事を草陰草案がいった時、襲ってきた男を拘束するために取り押さえた人が暴れ出す。そのもってた盾を振り回して、周囲の警官隊を攻撃したんだ。
 
「な、何をする!?」
「どうしたんだやめろ!」
 
 仲間が錯乱したことに混乱する警官隊の人たち。彼らは混乱してるが、先にこの状況を実況してた社会人組や大学生配信者達。そして草陰草案も、気づいてた。そして警官隊が一部で混乱してる間に、再び一時草陰草案の力で拡散された向こうの力が戻ってきてた。