「凄いです兄上」
そういってプライムも感動してる。まあ確かに凄い。多分プライムはまだま魔法とか使えないんだろう。だからそれを使えるアヴァーチェに純粋に尊敬の念を抱いてるようだ。
「前はああいう事、できなかったのか? あったことはあるんだよな?」
「はい、ですが魔法を見せてもらったことはないですね」
最近訓練が始まったんだろうか? ぞれでいきなりこんな風にできてるんならそれはやっぱりすごいのかもしれない。でも困った。なにせアヴァーチェの派手な行動で、あいつの周りにはこの部屋中の注目が集まってる。この中で何かアクションをするのは……ある意味プライムの時は、とっても自然に接触できたことが運がよかったことなのかもしれない。
「どうしましょうか? 自分が自然と扉からよびましょうか? 理由なんてどうにも言い訳できると思いますが」
「確かにそれもいいな……」
これまで見てきたプライムは超優秀だ。実際任せて間違いない……と思う。それにプライムがいたほうが、アヴァーチェの印象もよくなる……かもしれない。
いや、弟を誑かした奴認定されるかもしれないが。でもプライムがここにいるって事をたくさんの奴らに見られるのも……って懸念はある。何が一番いいかなんて実際わかんない。
だから自分の選択には自分が責任を持つしかなくて、プライムみたいな小さな子供に重圧を背負わせるのはどうかと思う。ちょうどよく派手な事をやってるしな。
「いや、やっぱりこの状況を使おう」
今はまだ自習なのか、大人は見えない。ならちょっとした魔法の暴走だってあるよな? そんなことが起きたとしても、それは監督不行き届きだから協会の責任である。
俺は自分の力を流す。キラキラと、ただ周囲を優雅に回ってる砂に俺の力を影響させる。そうすると、次第に砂は激しく動き出した。
「なっなんだ? これはいったい!?」
アヴァーチェはどうやらすぐに気づいたようだ。自分の制御下から砂が離れていったのを。けど周囲の子供たちはまだ気づいてない。でも砂がキラキラではなく、激しく動き、粒のぶつかりが不快な音を立てるようになってようやくその異常を感知したみたいだ。
「あ、アヴァーチェ様……これは……」
「わからない。魔法の制御が離れてる?」
「先生を呼んできましょう!」
「そうだそれがいい」
「まって皆。動くのはあぶな――」
「皆! 一体どこに!!」
果敢にもアヴァーチェは激しく舞う砂の中を進もうとする。砂の中完全に目を開けてるのは無理だろう。それに視界も全て砂が覆ってる。実は少しずつ、別の子供たちと離されてる……なんて気づくべくもない。そうして、ある程度離したところで、俺と……いや、まずはプライムが一人で会うといってきたからとりあえずそうした。
砂の中、ぽっかりと空いた空間に兄弟が向かい合う。