ぶつかり合った光。それが一気に膨張していく。わかりやすく言うとアイ殿の光は青が混じってる光で機械の腕の方は赤が混じった暖色系だろう。
膨らんであわや大爆発……と思ったがそうはならなかった。
「つっ!?」
細く鋭い、そんな光線がアイ殿の腹部を貫いたのだ。
「アイ殿!!」
「知ってるでしょ、こんなの私には意味なんてない。止まるな!!」
アイ殿はそういってくる。彼女らしい。自分が動いてたこともきっと察してたんだろう。自分はこの間に腕の背後に回ってた。目玉たちの目があるから、この行動もバレてるかもしれないが……それでもやらない理由にはない。
背後に回ってたから、今の細い攻撃がアイ殿を貫いたのも見えたのだ。実際、なんの影響もない……なんてことはないだろう。確かにアイ殿の体は自分と同じで、機械だ。機械に見えないが、機械なんだ。
自分よりも更に柔らかく、しっとりしてて、艶やかな肌をしてるが、機械なんだ。その全身がだ。だから自分たちはずっと生身の人達よりも頑丈だ。
だから大丈夫……と過信するのは危険だ。でもここは信じるしかない。なにせ助けに行くことだけが、救うことじゃない。自分が攻撃することで、救うことだってできるんだ!
聖剣を振り下ろす自分。けど空いてる腕がその聖剣をはじく。しかも……それが拳じゃない。なんと人差し指と中指の二本を伸ばして応対された。
その後もいくら切り結んでも腕はその二本の指で対応してくる。
カチカチカチカチ――
どこからかそんな音が聞こえてる。なにか気になるが、腕から視線は外さない。どんな些細な変化でも見逃さずに、チャンスを狙う。その時だ。
「ごふっ……」
腹に伝わる衝撃。一体何が? 腹に視線を向けると、一つの指が拳から分離して腹にめり込んでた。一体いつの間に……でもこの為に二本の指で対応してたんだろう。
やってくれる。確かにダメージは受けたが、この程度なら問題ない。でも砲撃勝負を制した腕は、ガシャンガシャンとその腕全体の側面が開いて白い蒸気を噴き出す。きっと籠った熱を逃がしてるんだろう。
アイ殿の銃も時々ああやって放熱してる。でもその時、何かが飛び出して、更にガシャンとやる。そしてそれはこっちに応対してる腕もそうだっだ。肘に近い部分が開き、ガシャコン――と何かが装填された?
その瞬間、隙間から光が走り、腕の出力が一気に上がった?
自分は不味いと思って防御に移行す――