俺の行動でどうやら賞金稼ぎの奴らの動きにもキレが出てるようだ。別段攻撃力とか、防御力とかが上がってる訳ではない。ただ気持ちの問題だ。砂獣と戦う事が慣れてる彼等でも、流石に何度も犠牲が出てる砂獣というのを前にすれば、緊張だってする。
そしてそんな緊張したままだと、実力を発揮する前に、食われてしまってもおかしくない。そうなると悔いても悔やみきれないだろう。だが、俺が次々と砂獣を倒す事で、その気持ちにも変化が起きる。俺がいれば、恐るるに足らずってね。
いや、まあ其れては困る事もある。今は俺が居る事を支えにしてるが、つまりは俺がいないと、その自信が出てこなくなる恐れがあるからだ。そういう問題は全員に起こる訳ではないが、実際にある事ではある。でもそこまで面倒はみきれない。
だってそれは彼等の心の問題だからだ。
そんな所のアフターケアまで俺は受け持ってはいない。ただ、俺達はサンクチュアリを探してるたけ。どうやらジゼロワン殿が言うには、もしかしたらサンクチュアリは砂獣に現れるかもしれないって事だった。そして最近砂獣が強くなってると言うのも、何かあるから……かもしれないとの事だった。
だからこうやって強力そうな砂獣がいる所に来てる訳だ。だが俺的にはこれは外れだと思う。自分が切り裂いた砂獣から飛び移る。次の奴に狙いを定めて、今度は剣線を飛ばして見るが外殻を破って奴らの肉まで届いてるようだが、流石に切断できるまではいかないらしい。
(いや、精度の問題か?)
結構適当にやってるから、刀身から放たれた力の拡散具合が酷い。放った直後の力と、届いた瞬間の力はその威力的に五十パーセントくらい減少してる。この精度をもっと強めて、放った直後の力を減衰させずに届く事が出来れば、多分切断出来る筈だ。
「うおおおおお! 堅えええええ!!」
「攻撃が全然通らないぞ!」
どうやらこのデカいムカデには賞金稼ぎの奴らの攻撃は通りづらいらしい。確かになかなかの堅さをしてるとは思う。自分がほぼ全てを相手にして、彼等は数十人で一体を相手にしてる訳だが……支援した方がいいのか? だけど、プライドとかもあるだろうしなーとか思ってると、彼等は何かをやり出した。
「は?」
思わずそんな声が出る。何故なら、彼等は自身の武器で自分の体を傷つけ始めたからだ。多いのは腕とかを傷つける奴だ。けど、自分の顔を傷つけたりしてる奴もいる。頭がおかしくなったのか? とマジで思った。