「「「旦那あああ！！」」」
精神世界から戻ってきたら、やっぱりだが、状況が動いてた。それも結構危ない瞬間の方にだ。俺は目覚めて一秒……いや刹那の瞬間に聖剣を通じて全てを理解する。聖剣はただの剣ではない。俺と融合してるまさに自分自身の分身と言っていい。まあ精神攻撃も聖剣でどうにかできたりする。本当は。
でもあの時は本当に一瞬だったからな。本当なら……というか俺が知ってる精神系の攻撃ってのはもっと複雑なものだった。いろいろと準備段階とか必要だし、あれだけ強制的に肉体と精神を切り離すってのは言葉にするほどたやすく無いことなんだ。
『ありがとうございます』
『うるさい、語るな』
『はっ！ マイロード！！』
だからうるさい……と言おうとおもったが、それよりも結界の外のおっさんが危ない。まあここで皆の為に犠牲になるのもある意味花道……なのかも知れないが手遅れならまだしも、今ならまだ全然間に合うのに何もしないんなんて、俺の勇者としての矜持が許さない。
だからとりあえず魔法で賞金稼ぎのおっさんを保護しておいた。そして直撃したように見えて、燃え広がる炎を強制的に力で押さえつけて消化する。
『おい、できるな？』
『あいあいさー！！』
俺の中でうるさく言ってる奴……実はこれ、老子バンドゥンから放たれた刺客である存在だ。俺に精神攻撃を仕掛けてきた存在。その正体は、いくつもの魂がまじりあってそしてあのシンボルにため込まれたそれこそ怨念といえる何か……だった。
でもそれも俺の力で浄化した。そして新たなる存在となった。今は仮称として『ノア』と呼んでいる。本当ならあのシンボルに縛られて、他者の魂を食うだけの存在だったが、たぶんのそのいくつも食べた魂の影響だろう。
ノアはかなり神聖属性を持つ存在へと昇華した。そしてその特筆する特性が、この世界の力を俺の動力と出来ることだ。多分俺の力で浄化したからだと思う。ノアには俺の力とこの世界の魂の情報が交じり合ってる。
だからその力の変換ができる。俺の力をこの世界の力にもできるし、その逆もできる。今まではこの世界での力の補充はジゼロワン殿伝いでしかできなかった。だが、俺はノアという存在を自身の中で飼うことで、それを成し遂げたのだ。だからすべてを余すことなく取り込もう。
『まずい力だな』
『神聖さなの欠片もないですから。でもマイロードの力になるなら、そこに神聖さも現れるというものですよ！」
ゴマすりが上手なやつだ。そんなことを想ってると、助かったおっさんが俺にとびかかってきた。いや、せめてローワイヤさんとか女性陣にやっぱり抱き着いてほしい。男はお呼びじゃない。
